上写真=小林悠は「結局は気持ちの部分でしっかり作っていかないと勝利はもぎ取れない」と気合を込めた(写真◎スクリーンショット)
「これがダメならこれ、という引き出しを多く持っていて」
6月27日にいよいよAFCチャンピオンズリーグのグループステージが始まる。川崎フロンターレはウズベキスタンで、中2日で6試合という過酷な強行日程を戦うことになる。
中国の北京国安、韓国の大邸FC、フィリピンのユナイテッド・シティFCと同じグループI。ガンバ大阪が所属するグループHの試合も同じスタジアムで行われるため、ピッチの芝の状態も心配で、中2日というスケジュールでは選手のやりくりも難しい。タフな6試合になりそうだ。
だが、小林悠は心配していない。
「(ピッチコンディションの悪化で)ボールをつなぎにくくなると思うので、サッカーを変えなければいけない部分もあると思います。でも逆を言えば、相手のミスも増えると思っていて、前線の守備がいいので高い位置で取れればチャンスになりますし、グラウンドのこともどうポジティブに考えられるかだと思うんです。こっちがうまくいかないということは、相手もうまくいかないので、そのスキを突いていければと思います」
決して楽観しているわけではないのは、自分たちの成長を感じているからだ。一つの型にはまって、それがうまくいかなかったら身動きが取れなくなるようなチームではない。
「Jリーグでも、自分たちに対してどう対抗するかを考えてくるチームが増えたと思います。スカウティングはされているなという感覚があって、でもその中で、選手がどう動けばうまくいくか考えて実行しているから負けていないと思うんです。そこにチームの成長を感じますね。これがダメならこれ、という引き出しを多く持っていて、流れを変える選手もたくさんいますし、チームが一つになって戦えていると感じています」
手を変え品を変え、柔軟に形を変えていくことのできる、いわば流動体としての「自分たちのサッカー」である。あとは、それをピッチでどう動かしていくのか。変化のタイミングでノッキングを起こすと、相手にスキを与えてしまう。
「一番はオニさんがチームをコントロールしてくれているので、試合中に相手のどこが空いているのか、とか、自分たちが守り方がはまらないからこうしようとか、もちろん選手も感じているけれど11人それぞれに考えがあるわけで、オニさんの指示を伝え合って統一していければいいと思います」
いわゆる「指示待ち」と違うところは、鬼木達監督自身がいわば「12人目の選手」としてリンクしていて、選手が全面的に信頼しているからではないだろうか。監督と選手の理想的な関係。
「ピッチで相手の守備をどうはがせるのか、ボールをどう運びやすくできるか、どう守備ではめていくのか、それはもちろん選手も考えますけど、チームとしてどう動くかはオニさんが決めることです。個人個人の思考はピッチで表現できますけど、全体の考えをまとめるのはオニさんですね」
選手たちが最高レベルで下す判断を、鬼木監督がチームとして束ねていく、というイメージだろうか。中2日で6試合と過酷だから、登録全選手がウズベキスタンに集結する。すべての選手にチャンスがある。まさに総力戦。
「どれだけ一つになれるかが勝敗を分けると思います。出る選手、出ない選手は関係なく、みんなで声を出して一つになることが重要です。中2日で選手が代わることも多いと思いますから、出ている選手がやりやすいようにみんなで盛り上げていきたい」
川崎Fは過去8回、ACLに出場しているが、ベスト8止まり。ただ小林自身は4回出場して、25試合10得点で、「個人的にはゴールを決めている大会なので苦手意識はないですし、今回もゴールを決めるんじゃないかと思っています」とにやり。
小林の予言がよく当たることは、川崎Fのファン・サポーターならよく知っている。
「いろいろなところで、フロンターレは国内なら強い、と言われているのを見て、悔しいですし、反骨心じゃないですけどメラメラ燃えている選手もいると思うので、しっかりここでダメだと言われないように臨みたいと思います」
戦いの準備はできている。