5月19日に行われたJリーグYBCルヴァンカップの第6節で、横浜FCは浦和レッズのホームに乗り込んだ。岩武克弥にとっては昨季まで所属した古巣との対戦だ。しかし、守備で後手を踏んだ悔しさが募る90分に。それでも3-4-3システムに手応えも感じ、敗戦から学ぶものも多かった。

上写真=昨年12月19日の最終節でプレーした以来、岩武克弥が埼玉スタジアムに帰ってきた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月19日 JリーグYBCルヴァンカップ第6節(@埼スタ/観衆4,252人)
浦和 2-0 横浜FC
得点:(浦)関根貴大、汰木康也

「古巣戦で勝ちたかったです」

 岩武克弥が2シーズンプレーした浦和レッズを離れたのが、2020年シーズンが終わったあと。今季から完全移籍で横浜FCの一員になり、5月19日のルヴァンカップ第6節で古巣のスタジアムに帰ってきた。

 J1第3節でも埼玉スタジアムで試合はあったのだが、岩武はベンチ外だったので、この日が初めての「凱旋ゲーム」だった。

「古巣戦で勝ちたかったです。成長した姿を見せられませんでした」

 開始からわずか3分で、右サイドバックとして守った自分のサイドを華麗なパスワークで破られて、先制ゴールを許した。

「チームはうまくいかず、前半は後手後手になりました。1点取れそうなシーンもあったので、取れていればまた変わったのかな」

 いきなり先制されたことで、試合は難しくなってしまった。10分にマギーニョが抜け出してGK西川周作と1対1になりながら、ループシュートをぶつけてしまう。岩武だけではなく、早川知伸監督も「マギーニョがカウンターで迎えたチャンスを決めたら、状況が変わっていたと思いますが、難しいゲームになってしまった」と嘆いたシーンだ。

「守備ではまらずに後手後手になって、奪ったあとも立ち位置が良くなくて距離感も良くないので、守備から攻撃がうまくいっていなかった」

 岩武がそんなふうに感じた苦しい前半から、後半は人とシステムを変えた。前半の4-4-2から2人を代えて3-4-3へ。早川監督はまず5バック気味に構えて守備の安定化を図りつつ、攻めに出る意図があったと説明した。岩武は前半の右サイドバックから、後半は右のアウトサイドへ。いずれにしても、自分のサイドにフタをする役割には変わりなかった。

「システムを変えた方がしっかり人にいけるようになったので、その方が良かったですね」というのがピッチ上の感覚だった。後半の前線の3人は、マギーニョ、ジャーメイン良(57分から伊藤翔)、小川慶治朗と推進力のあるメンバーだったから、奪ってから一気に攻めに出たかった。

 しかし、61分に追加点を浴びてしまう。3-4-3の布陣も「試合中に変わることはあるので、ミーティングのときに落とし込んでいた感じです」とじっくり練り上げることはできなかったようで、これからの可能性に期待は持てたが、ビッグチャンスを作り出すまでには至らなかった。

「ファースト(最初の守備者)が決まらないので、後ろとしても誰につくかが徹底できなくて、引いたところでもう一つ引くのか上げるのか、中途半端なことがありました。引くなら引く、出るなら出るではっきりさせないと、後ろは厳しいものがありますね」

 微調整の必要性を痛感した古巣戦。厳しい戦いを繰り広げたかつての「家」で得た課題は、必ず糧にしたい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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