上写真=徳島戦を前にオンライン取材に応じた小林友希(写真提供◎VISSEL KOBE)
意識とプレーの質の高さは学ぶべきもの
「後ろからボールを大事してビルドアップをしてきて、守備に関しても切り替えも早い。そして前からアグレッシブにプレッシャーをかけてくる」
グループステージ突破がかかった徳島戦。相手の印象について小林はこう語った。第3節で対戦した際にはホームで0-1で敗れている。小林自身もフル出場を果たしたが、悔しい結果となった。
「自分たちで勝つことができれば、自力でグループステージを突破できます。もちろん勝つことを目指してやっていきたいし、徳島戦に関してはシンプルに勝利することが一番の目標になってくると思う」
引き分けでも他会場の結果次第で突破の可能性は残すものの、自力突破が可能である以上、目指すのは勝利のみだ。ルヴァンカップのここまで5試合すべての先発している小林にとっては、勝利を挙げるとともにもう一つ、自分をアピールするという意味でも徳島戦は重要な一戦になるかもしれない。カップ戦でフル出場を続けている一方で、リーグ戦の方ではここまで6試合に出場に留まるが、最終ラインの主軸を担うトーマス・フェルマーレンが長らくチームを離れることになったからだ。
フェルマーレンは、EUROに臨むベルギー代表に選出された、6月の1カ月間はほぼ神戸でプレーできない見込みだ。しかもチームが勝ち進めば、さらにその期間は延びる。その上、コロナ禍における入国制限も帰国時の時点でどうなっているか分からず、仮に自主隔離期間があれば、相当な長い期間、チームを離れることになる。
三浦淳寛監督も「選出はうれしいことですが、監督としては痛い」と正直に語っている。そしてこうも指揮官は加えた。「痛いですが、他の選手ににとっては逆にチャンスにもなる。チャンスをつかんでほしい」。期待される一人が、小林だろう。
「フェルマーレン選手がEUROに行ったからといって僕が試合に出られると決まっているわけではないですし、そこに競争があるので、まずはそこにしっかり勝つことを意識したい。もちろん、試合に出るチャンスは広がって来るとは思うので、そこで自分をアピールしつつ、自分を出せるように、結果を出せるように、徳島戦からチームに貢献したい」
フェルマーレンの不在を感じさせないこと、すなわちチーム力を下げず、むしろ違いを出すような活躍を見せること。小林がこれから挑むのはそういう作業になる。「本当にフェルマーレン選手は練習から100パーセントで臨んでいるし、試合をイメージして常にやっている。それは見ていても伝わるし、当たり前のことなんですが、その意識の高さは学ぶべきものがあります」「レベルの高い選手と同じチームでプレーできるのは自分にとってプラス」とリスペクトしつつ、言った。
「もちろん、僕も選手としてポジション争いに勝っていかないといけないし、その中でアピールすることは常々意識しています。その中で(フェルマーレンから)多くのものを吸収したいですし、それと同時にまた自分の強みを生かしていけるようにしたい」
フェルマーレンが持つチームへの影響力や信頼感、プレーの安定感は獲得しなければならないもの。ただし、プレーそのものをただ真似るのとは違う。そもそもの個性が異なる中で目指すべきは、小林友希の強みを生かしたプレーになる。
「ただ同じように成長するのではなく、僕は僕なりのストロングポイントの出し方を見つけていけるようにしたい」
偉大なCBフェルマーレンが不在となる期間。最終ラインでプレーするクリムゾンレッドのナンバー3に注目だ。