日本サッカー界に朗報だ。ヴィッセル神戸のMFアンドレス・イニエスタが、自身の37回目の誕生日に記者会見、神戸との契約を2年延長することを発表した。合わせて、神戸を現役最後のクラブにすることを望んでいること、引退後も神戸に関わりたいことも口にして、選手としてもそれ以降も日本サッカーの成長を手助けしてくれそうだ。

上写真=イニエスタが契約延長! さらには神戸が現役最後のクラブになることも明かした。あと2年、日本でその勇姿を見せてくれる(写真提供◎ヴィッセル神戸)

「ワクワクを感じています」

 アンドレス・イニエスタがあと2年、ヴィッセル神戸のユニフォームを身にまとい、ピッチで引き続き素晴らしいプレーを見せてくれることになったのは、日本サッカーにとってはうれしい知らせだろう。対戦するチームの監督や選手、サポーターにとっては少し厄介かもしれないが、それでもスペインサッカーの至宝を目の前で見ることができる幸せを拒む人は恐らくほとんどいないだろう。

「自分にとって大事だったのは、信頼してもらえているということです。大切だと思ってもらえていると感じたことがキーポイントでした」

 契約を延長した理由を、イニエスタはそう話す。信頼がキーワードだ。もう一つが、ピッチでプレーを表現するための意欲だった。

「自分はまだモチベーションとワクワクを感じています。ベストのプレーを出すためのモチベーションを感じていることも重要です。さらにコンディションを落とさずにチームのために貢献できるように日々頑張っていきたい。そのために今後を過ごしていきたいと思います」

利他の精神

 記者会見に同席した楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長、楽天ヴィッセル神戸株式会社代表取締役会長の三木谷浩史氏は、ここまでの3年間の関係で最も感心した出来事を問われて、「利他の精神」を挙げた。「チームを思いやり、周囲の人や社会への思いやりが本当にあります。エル・クラシコでレアル・マドリードのサポーターがスタンディングオベーションするのはアンドレスだけではないか。その意味がよく分かります」と人格者であることを強調した。

 その利他の精神は、イニエスタの言葉に散りばめられている。

「自分に残せることは、全力でピッチで表現したものをファンの皆さんやメディアに語り継いでいただくことです。モチベーションはピッチで最高のプレーをすることで、そのために日々のトレーニングをいまも続けていますし、これからも長く続けていければと思っています」

 自分が最高のプレーを表現することによって、目撃した人々の心に刻まれて、彼らがずっと語り合っていく未来を見据えているのだ。自分のためだけではない。

「ここから神戸を強いチームにする挑戦を続けていきます。私は大きな目標を勝ち取りたい性格なので、高みに連れていけるように貢献したい。神戸ファンの皆さんや日本のサッカーファンの皆様が改めて歓迎してくれて感謝していますし、示してくれた応援や気持ちに応えないといけないと感じています。そのために今後も努力を続けていきたいと思っています」

 さらに喜ばしいのは、未来についてこう話したからだ。

「自分のサッカー選手としてのキャリアをここで最後まで続けたいと思っています。ただサッカー選手としてだけではなく、このクラブとは今後もいろいろ関わり続けたいというのが私の希望です」

「3年前に大きなモチベーションでプロジェクトに関わって、それはいまも感じています。そのモチベーションが薄れたと感じたときには、最初に自分で言います。それまでは本当にピッチの上でこのクラブに関わりたいので、意欲を持って今後も続けたいと思います」

 ヴィッセル神戸がイニエスタの最後のクラブになる。そしてその後も、アジアナンバーワンクラブになるというプロジェクトを推し進める力になる。この記者会見は、イニエスタの堂々の「未来宣言」になった。


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