上写真=ルヴァンカップ第4節で終盤にカズを送り出す早川知伸監督。うれしい初勝利を手にした勢いをつなげていきたい(写真◎J.LEAGUE)
「しっかり握ることにフォーカスしていきます」
早川知伸監督体制になってから横浜FCの初めての勝利は、4月28日のルヴァンカップ第4節柏レイソル戦でもぎ取った。ジャーメイン良と岩武克弥の今季の新戦力が決めて2-0。これでCグループ首位に立った。
だが、その翌々日、30日のオンライン会見では早川監督はとっくに切り替えていた。
「チームが一丸となってやっていかなければいけない中、選手が対応してくれました」と勝因を改めて振り返りながらも、柏が合流して間もない新外国籍選手4人を先発させたり、経験の浅い若手を多く起用したことで、こちらにアドバンテージがあったことも認めている。だから、できたこと、良かったことは大事にしつつ、中2日で迎えるJ1第12節の鹿島アントラーズ戦に持ち込むつもりだ。
その鹿島も監督交代を経て、昇り調子だ。相馬直樹新監督の下、J1とルヴァンカップ4試合で2勝2分け。まだ負けがない。
「相馬さんに代わってから守備が整理されたのは見て取れます。町田の監督のときにJ2で自分がコーチとして対戦しましたが、しっかりとサッカーをしてくるという印象です。整理されていて、それが結果に結びついていることが表れています」
その「整理された守備」にどう立ち向かっていくか。そこに、柏戦で得たものをぶつけることができる。
「ビルドアップでは優位性を持って運びたいのはどのチームも同じですが、柏戦では(相手の守備網へ)入っていくところの整理ができて選手が体現してくれました。短い時間で準備してくれたのは予想以上でした」
強い相手であればあるほど、自分たちで運んでいくことが攻撃のパワーアップにつながるし、相手にボールを渡さなければ攻められないという攻守両面のメリットがある。
「ただ、柏戦では相手の守備の連係ができていない中だったので容易に進められたということは、現実として重々承知です」と足元をしっかり見てはいる。それでも、柏戦でつかんだ好感触を生かさない手はない。
「鹿島は柏とはまた違う形で前から来るだろうし、人にタイトに来るだろうし、個が強いでしょう。でも、こちらが守備一辺倒になったらやられる可能性が高くなります。しっかり握ることにフォーカスしていきます」
柏戦のジャーメイン良の先制点は、安永玲央から送られた、中央をきれいに割るタイミング抜群のスルーパスを受けて決めたもので、岩武の追加点は手塚康平のFKを見事にヘッドで突き刺したもの。昨季までの選手と、今季加わった選手のコンビネーション。
「まだ(監督として)3週間ぐらいしか見ていませんが、連係は取れてきていると思います。新しい選手と既存の選手のコミュニケーションは多くなっていますし、岩武にしてもジャーメインにしても、特徴をよく見てやってくれていると感じています。特徴をお互いに生かそうと意識して入った得点ではないかと思います」
小さなことが少しずつかみ合ってきた。その実感を自信に変えて難敵・鹿島を迎える。