上写真=柿谷曜一朗は前線で時間を作ることのできる選手。逆襲の後半、たくさんボールに関与して攻撃を引っ張った(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月29日 明治安田生命J1リーグ第22節(@豊田ス/観衆9,693人)
名古屋 0-4 川崎F
得点:(川)旗手怜央、レアンドロ・ダミアン2、遠野大弥
「あの決定機は決めなければいけなかった」
後半が始まって間もない54分のことだった。右サイドを突破してきたマテウスを見て、柿谷曜一朗は中央から右前のスペースへと走り出した。これを感じていたマテウスからスルーパス。相手の足に当たったが逆にボールの勢いが落ち着いて、ちょうど柿谷の足元にこぼれてきた。そのまま鋭く右足を振った。
しかしシュートは、前に出てきたGKチョン・ソンリョンにブロックされてしまった。
マッシモ・フィッカデンティ監督が喉の痛みを訴えて受けたオンサイト検査で判定保留となって指揮を執れず、前半のうちに3点を許すダブルパンチ。前半の30分で2人を交代して流れを変えようとベンチも動いた。後半に突破するきっかけは、マテウス、相馬勇紀のスピードと柿谷のセンスだっただろう。だからこの54分のシーンは、ゴールにはならなかったものの、逆襲の予感をたっぷりと含んだファインプレーだった。
「特に前半で3-0だったので相手も少し肩の力を抜いている感じで、まずは1点を返したい気持ちでした。あの決定機は決めなければいけなかった」
振り返れば、やはり3分で奪われた先制ゴールの衝撃が大きかった。
「相手の思い切りの良さで先制を許してしまって、どうしても体が重くなったというか重心が重くなったのは否めません。1点取られたからと言って、焦らず自分たちのサッカーができれば違う結果になったのではないかと思います」
ここまで12試合でわずか3失点の堅守が、いとも簡単に崩された。すぐにリカバーできないほどのインパクトだったのだろう。
「この試合に準備してきた中で、あの失点ですべて崩れるわけではないですが、しっかり守って勝つという戦い方をしてきたから先制点が重くのしかかりました。ピッチの中でもベンチの選手たちも声が出ていたし崩れたわけではないと思います。そこから連続失点をしたけれど、セットプレーのはね返る場所やクロスへの対応、始まってすぐの寄せの甘さと、すべて自分たちで解決できるものです。すぐやり直すチャンスがあるので、見直してやれればいいと思っています」
不幸中の幸いが、すぐに逆襲できる機会があることだ。中4日で再び迎える川崎F戦。今度はアウェーだが、この悔しさを遠慮なくぶつけてみせる。
「今日の負けを認めて、その中でできたことを90分で多く出せるようにしたいと思います。これ以上、差を広げられると後がなくなるので、ちょっとでも食いついていけるようにアウェーで一丸となって勝ちたいと思います」