上写真=右サイドバックとしてフル出場。宇賀神友弥が若手を思い切りプレーさせた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月28日 JリーグYBCルヴァンカップ第4節(@埼玉/観衆4,231人)
浦和 0-0 湘南
「19歳の年にでこれだけできるのはすごい」
GK鈴木彩艶、センターバック藤原優大、左サイドバック福島竜弥。最終ラインとGKの守備陣5人のうち3人が、2002年生まれの18歳だった。残りの2人、藤原と組んだ39歳の阿部勇樹と右サイドバックに入った33歳の宇賀神友弥は、彼らを導く存在でもあった。
「湘南が前からプレスに来るのは分かっていましたけど、受け身になった部分があったのと、若い選手が多いので狙われていたのかなという感覚はありました」
宇賀神はそんな彼らをケアしていった。湘南は前半から小気味よくプレスを掛けてきて、経験の浅い選手たちは慌ててしまった。ボールをつないで前進するスタイルにあって、ボールを受けてもパスの出口が限られてしまい、引っかけられてカウンターを食らう場面も多くなった。
「僕と阿部さんがいたのでスライドを思い切ってやっていいし、前へのアタックも思い切っていけと言っていました。よくできて非常にいいプレーでしたね」
宇賀神と阿部の間に立つ右センターバックの藤原には、積極性を高めるコーチングを続けた。一方で、「前半は左サイドを突かれて結構押し込まれたので、そこをケアしてあげられればよかったかな」と、福島が担当するエリアは湘南に何度も破られたため、さらに細かなフォローの必要も感じていた。
「当時の自分と重ねると、19歳の年にでこれだけできるのはすごいことだと思いますし、今日も落ち着いて自信を持ってプレーしていたのですごいなと。でも、足りないところはたくさんありますし、後ろの選手たちなので前をコントロールしていくところはまだまだかな。自信を持ってストロングを出してほしいので、それを引き出すのも自分の仕事です。彩艶はもう言うことないぐらい自信を持って素晴らしいプレーを見せているから、これからが楽しみですね」
ただ、公式戦である以上、0-0のまま試合を終えて勝利に届かなかったことについては、足元を見つめる必要がある。
「勝ち点1は最低限ですけど、ホームで勝つことが若い選手の成長につながるし、チームとしても勢いになるので勝ちたかった」
強いレッズを取り戻すためには、必要なことがたくさんあると痛感したという。
「前半は落ち着く時間もあまりなくて、前の選手も動き出しづらかったのかなと思います。後半に関根(貴大)と柴戸(海)が入って余裕が出ましたけど、自分を含めて試合に出ている選手となかなか出ていない選手の差が結構あると感じました。それではチーム力は上がっていかないので、もっとやっていかないと」
リカルド・ロドリゲス監督が就任して新しい戦いを組み立てている途中だが、だからといって試合に出られない選手の突き上げがなければ総合力は伸びていかない。その底上げも、宇賀神の仕事の一つになるだろう。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE