上写真=湘南のウェリントンを浦和が柴戸(左)と岩波で挟み込む。交代選手が試合を活性化させた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月28日 JリーグYBCルヴァンカップ第4節(@埼玉/観衆4,231人)
浦和 0-0 湘南
「サッカーは最後で決めないと勝ち点3を取れません」
静かな前半だった。ビッグチャンスと言えそうなのは、それぞれ一度ずつ。まず20分に浦和レッズは、相手のバックパスミスを拾った汰木康也が持ち込んで狙うが、GK富居大樹がセーブ。32分には湘南ベルマーレが右サイド深くのポジションを取って茨田陽生がセンタリング、これを平岡大陽がダイレクトで狙ったが、DFにブロックされた。
浦和は最終ラインからボールを動かしながら運ぼうとする意欲は伝わってくるが、センターバックの阿部勇樹と藤原優大の間でパス交換した、その先の出口探しに時間がかかった。なかなかミドルサード、そしてそれより前に意図的に運べない。時折、前線の杉本健勇へのミドルパスを狙うが、そこは湘南ベルマーレがお見通しだ。
その湘南が前半はリズムをつかんだ。浦和のボール回しに対して茨田と平岡のインサイドハーフが、ボールがサイドに出たときに的確に制限してパスを引っ掛け、奪ってから左右に大きく素早く動かしてチャンスをうかがっていった。特に序盤から右ウイングバックの池田昌生が元気。気持ちよさそうにスピードに乗ってサイドを突破していった。
活性化したのは交代選手たちだ。浦和は後半から柴戸海、関根貴大を、71分に興梠慎三と明本考浩を投入。湘南も後半開始から古林将太を、66分にはウェリントンと原直生を送り込んだ。ともにゴールを狙うための攻撃力アップが図られた。
すると、ここからテンポアップ。78分に湘南は古林がゴール左から迫るがシュートは枠の外、79分に浦和が柴戸のミドルパスで明本がゴール前に迫るがわずかに触れず、80分に湘南がウェリントンのポストから原が中央を割って入るが止められ、81分には浦和が左右にボールを振りながら右サイドを突破、クロスは惜しくも逆サイドに流れた。アディショナルタイムにも関根が右サイドから仕掛け、ファーサイドへクロス、汰木康也がヘッドで中央へ戻すと明本が落とし、最後は興梠がボレーで狙うが、バーの上へ。
「奪ったボールからカウンターやサイド攻撃でゴール前でたくさんチャンスを作りましたが、残念ながらサッカーは最後で決めないと勝ち点3を取れません。今日は勝ち点3を逃したと言っていい試合でした」
「前半は大きなチャンスを作れないまま終わって、後半は前半よりは落ち着いて、チャンスも最後の時間には増えました。しかし、決定的なチャンスは作れなくて、グループリーグ突破のために勝ち点3がほしかったけれど、今日の内容を振り返れば勝ち点1は妥当なところだと思います」
同じような内容のコメントだが、前者が湘南の浮嶋敏監督で、後者が浦和のリカルド・ロドリゲス監督のもの。湘南にとっては悔しさが募る、浦和にとってはある意味で納得の痛み分けとなった。もう1カードで横浜FCが柏レイソルに勝ったため、湘南は横浜FCと並び首位をキープ、浦和は一歩後退の3位となった。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE