上写真=63分からピッチに登場した横浜FCの渡邉千真(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月24日 明治安田生命J1リーグ第11節(@日産ス/観衆12,297人)
横浜FM 5-0 横浜FC
得点者:(横)マルコス・ジュニオール、オナイウ阿道2、前田大然、レオ・セアラ
チャンスに決めていれば…
この日の横浜FCのメンバーには、かつて横浜F・マリノスでプレーした選手も多くいた。プロデビューした横浜FMで過ごした3年間でリーグ通算28ゴールを挙げ、今季から横浜FCに加わった渡邉千真もその一人だ。
ベンチスタートだったが、2点を追っている状況で出番が来た。「起点になることと、あとはゴールを狙っていけと言われていた」と、クレーベに代わって63分にピッチに登場した。
交代出場した3分後、マギーニョからゴール右の伊藤翔へとボールがつながった場面で、ボックス内に位置取った。だが、伊藤が粘って送ったクロスには、あと一歩届かなかった。その直後、反撃に出るつもりが、逆に横浜FMにリードを広げられ、さらに苦しい状況に追い込まれてしまった。
その後も前線でボールを何度も呼び込んだが、守備でもアグレッシブさを持続する横浜FMの前にチャンスをつくれず。渡邉はシュートを打てないままで試合終了を迎えた。
試合後には、ゴール裏から手拍子で背中を押し続けていたサポーターからブーイングを受けた。早川知伸監督同様、オンライン会見に登場した渡邉も表情は優れなかった。「自分が入ったときにチャンスはあったので、決めていればああいう点差にはならなかったと思う。負けている状況でももっと攻めないといけなかったが、なかなか攻撃できなかった」と、反省の弁が続いた。
ブーイングを送る気持ちは、渡邉にもよく分かっていた。
「ファン・サポーターの皆さんを、毎試合、早く勝って喜ばせたいなという思いでいます。今日のようなダービーでは、勝ちたいという気持ちがより強かったと思う。最後まで手拍子で後押ししてくれていたし、そういう思いを感じながらやっていた。負けてしまって、すごく申し訳ないし、残念」
ただ、塞ぎ込んでばかりもいられない。タイトな日程の中、すぐに次の試合がやってくる。渡邉は前を向いた。
「失点しても下を向かずにやっていくしか、道はないと思う、取り返さないと、今日みたいにどんどん失点を重ねることになる。下を向く暇はないと思う」
渡邉自身も、まだ新天地でのゴールはない。今できるのは、とにかく現実を直視して、前に進んでいくこと。それしかない。
取材◎杉山孝 写真◎J.LEAGUE