上写真=FC東京を下して3勝目。長谷部茂利監督が決勝ゴールのブルーノ・メンデスと喜びを分かち合う(写真◎J.LEAGUE)
「1点差でも勝つのは、果たさなければいけない責任」
アビスパ福岡は、J1リーグ、ルヴァンカップを合わせて中2日、中3日でこなす11連戦の真っ最中。その5試合目までを終えて、1勝2分け2敗だ。
特に、4月14日に川崎フロンターレと、17日にFC東京と、J1でもトップのチームと戦ったこの1週間はタフだった。メンバーをうまく入れ替えながら、川崎Fには結果的に1-3で敗れたものの、超攻撃的な相手にひるまず一度は追いつく粘りを見せたし、FC東京には1-0で勝利を収めて結果を手に入れた。少しずつ上向きだ。
「でも、まだまだです」
長谷部茂利監督はもちろん、手綱を緩めない。ただ、FC東京戦の勝利は大きなきっかけになるかもしれない。
「トレーニングはさほどできていませんが、新しく入ってきた選手が融合しているのが大きいですね。それがシュート本数やボールのつなぎのところに出てきていると思います。結果的に得点は多くはないので手放しで喜べないけれど、チャンスは作ることができて可能性は高まっています」
決勝ゴールは新加入のブラジル人FWブルーノ・メンデスが決めたもので、同じく新加入のベルギー人MFジョルディ・クルークスも78分から起用した。カメルーン人FWジョン・マリも練習にようやく合流して、チーム力がますます高まっている。
「いいゲームは無失点で複数得点という結果につながる内容であるべきだと思っていますが、そこはまだできていません。課題だと周りから見ても分かる通り、取ったボールをすぐ失ってしまったり、3、4本はつなげても奪われたり、守備でも簡単に失点してしまっていました。ここ数試合はそれが減ってきているかもしれませんが、サッカーというスポーツはそういうことがまた突然訪れるものです。ただ、いいサッカーをしているね、とか、面白いね、と言われるのは非常にうれしいです」
とらえた波を逃さずに乗りこなすために、監督から選手へメッセージを発信し続ける。
「無失点の複数得点という理想には遠いですが、簡単にはできないですし、理想を掲げながら1点差でも勝つのは、果たさなければいけない責任です。いつも選手にそう問いかけています。(FC東京戦では)そういうゲームができたので、続けていこうと話しました」
その根底にあるのは「前へ、上へという気持ちになるように」という長谷部監督自身の生き様。J1で10位以内、ルヴァンカップでベスト4入りという目標を達成するために、この11連戦を乗り切るつもりだ。