3月14日の浦和レッズ戦で負傷していた横浜F・マリノスのタイ人サイドバック、ティーラトンが、ようやく帰ってきた。不在の間、チームは得点力不足に悩まされてきたが、その鮮やかな攻撃参加が解決のカギ。「悪魔の左足」と恐れられるキックが、チームを救うはずだ。

上写真=ティーラトンの左足はやはりチームに欠かせない。ここから逆襲だ(写真◎J.LEAGUE)

「一人でサッカーはできない」

「試合に出られるかは監督次第ですけど、自分としては声がかかればできる状態です」

 ティーラトンの元気な声が返ってきた。

 3月14日の浦和レッズ戦で左足を痛めて25分でピッチを退き、検査の結果、左ハムストリングの肉離れで全治4週間と診断された。ちょうどその4週間が経過し、戦える体に戻った。

 今季も開幕戦の川崎フロンターレ戦から、続くサンフレッチェ広島戦、1試合休んで浦和戦でいずれも先発していた。残念ながらここで負傷し、その後、治療とリハビリに当たっていたが、その期間に行われた4試合は1-0、1-1、1-0、0-0と、負けてはいないものの、攻撃にやや迫力を欠くゲームが続いていた。

「自分は外から見てきましたが、チームのスタイルとしてやっていることはできていました。でも、フィニッシュがうまくできていないというのは正直、感じました」

 それでも別に、悲観しているわけではない。「相手陣内でポゼッションしたり、チャンスを作ることはできている」と手応えを感じているから、「フィニッシュを改善していけば自分たちらしいアタッキングフットボールができると思います」と答えはシンプルだ。

 そうなると、ますますティーラトンの「悪魔の左足」に期待が高まる。得意の攻撃参加でより多くのチャンスを作ることができるからだ。

「自分のプレーはずっと今日に至るまで変わったことはありません。一人でサッカーはできないので、チーム全体として攻撃もみんなでやって守備もみんなでやって、たまたま僕のところにいいボールが来て、ラストパスを出してチャンスにつながっているだけです。チーム全体がチャンスを作り出しただけですから、自分たちのサッカーを大事にして多くのチャンスを作っていいゲームを見せられればいいと思っています」

 たまたま、というのは謙遜しすぎにも思われるが、チームとしての機能の一部にしっかりと自分が組み込まれているという自負はある。

 休んだ分を取り返す時間は、まだまだたっぷりある。


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