上写真=樋口雄太が王者・川崎フロンターレを相手に感じたこととは?(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月7日 明治安田生命J1リーグ第8節(@等々力/観衆9,173人)
川崎F 1-0 鳥栖
得点:(川)遠野大弥
「試合をコントロールする力をつけていきたい」
負けっぷりが、潔い。
サガン鳥栖の背番号10を背負う樋口雄太は、試合の感想を問われて「完敗の一言です」ときっぱり答えた。
序盤から川崎フロンターレを相手に一歩も引かず、主導権を握られながらもゴールは割らせなかった。57分に田代雅也が退場して10人になってもファイティングポーズを取り続け、その後、1点を失ったものの、ゴールへの意欲を失うことはなかった。
それでも「完敗」なのだ。
「王者を相手に勝ちにいこうと試合前からみんなで話し合っていきましたが、そんなに甘くなかったのが率直な感想です」
逃げずにやりあったからこそ見えた完敗でもある。立ち向かわなければ現在地は見えない。
樋口はキックオフから右のMFに入り、島川俊郎の負傷交代によって25分からはボランチへと移った。
「前半はいつもと違うポジションをやったんですけど、途中でボランチになってできることを最低限やろうと決めてプレーしました。でも、まだまだ周りを助けるプレーができていないので、自分のところで起点になったり試合をコントロールする力をつけていきたい」
金明輝監督が指摘したのは「イージーミス、技術的なミスがあった」ということ。日本トップの技術力を持つ川崎Fと相対すると、細かな粗が目についてしまう。それは樋口もピッチの中で痛感したこと。
「ここ2試合、簡単なミスがすごく目立っています。そこを修正することとゴール前に人数を掛けることをやっていかないと得点は生まれません」
「最近、勢いがないとチームの中でも話があって、守備の強度のところからアグレッシブに主導してやっていこうと話していました。前半は出せていたけれど、90分を通してできなかったのが敗因です」
昨季は唯一、川崎Fに2分けで負けていなかっただけに、勝利を真剣に目指した。ところが、細かなミスが出て、ゲームマネジメントでも後手を踏む形になった。それでも、完敗と断ずる潔い90分の体感は、ここからの進化の糧になるに違いない。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE