上写真=明本考浩が浦和の勝利の立役者。J1初ゴールとなる先制弾は落ち着いて流し込んだ(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月3日 明治安田生命J1リーグ第7節(@埼スタ/観衆9,975人)
浦和 2-1 鹿島
得点:(浦)明本考浩、槙野智章
(鹿)関川郁万
「もっともっと15番を広めたい」
スタミナは無尽蔵。左サイドハーフに入った明本考浩は走っても、走っても疲れを知らない。
全力でプレスをかけ、味方がボールを奪えば、一目散にスペースに飛び出していく。0-0で迎えた37分、その持ち味が存分に生きた。左サイドのオープンスペースへ駆け上がると、西大伍からのアーリークロスを呼び込んだ。フリーでボールを受けると、相手GKと1対1。慌てることなく落ち着いて、左足へゴールへ流し込んだ。
ホームの埼玉スタジアムでうれしい移籍後初得点は、自身のJ1初ゴールでもある。試合後はヒーローインタビューでマイクを向けられ、初ゴールの感想を聞かれると、会場を見渡しながら、うれしそうにはにかんだ。
「素直にうれしいです。(西)大伍さんがいいボールをくれたので、決めるだけでした」
背番号15番の活躍はゴールだけではない。2点目のPKも、裏に飛び出して、相手DFの体勢が整っていないことを確認し、武藤雄樹からスルーパスを呼び込んで誘発したのだ。勝負どころを見極めたフリーランである。背後を狙うのは、リカルド・ロドリゲス監督から口酸っぱく言われていること。それを実行して決勝ゴールのきっかけをつくった。勝利の立役者と言ってもいい活躍ぶり。しかし、本人は謙虚な姿勢を崩そうとはしない。
「まだレギュラーに定着したとは思っていません。レッズでは結果を残さないと、試合に出ることはできない。いい競争ができていると思います。今後も自分らしく自分のプレーを続けていきます」
守備でのハードワークも目を見張るばかり。後半の終了間際まで自陣の深い位置まで戻り、相手に体をガツンとぶつけて、ボールを奪っていた。埼玉スタジアムからは明本が相手にしつこく食らいつくたびに拍手が起こっていた。すっかり目の肥えたレッズ・サポーターにも認められているのだろう。試合後はスタンドに背番号15のユニホームを掲げられているのを確認し、感慨深そうには話していた。
「うれしい光景でした。もっともっと15番を広めていきたいです」
鹿島戦で確かな自信をつかんだ男の言葉は弾んでいた。
取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE