川崎フロンターレの谷口彰悟は徳島ヴォルティスに2-0で勝利を飾ったあとも、反省することしきりだった。3点目を取りに行きながら取り切れなかったからだ。キャプテンの言葉には、このチームの飽くなき向上心があふれていた。

上写真=試合後、サポーターの声援に応える谷口彰悟(写真◎小山真司)

出る選手が結果を出すサイクル

 谷口彰悟は、いつも冷静だ。チームの現状を把握し、思うところをしっかりと口にする。

「ここのところ良いゲームの入りができています。今日も立ち上がりからアグレッシブにいけて、点が取れたのは良かった。前節はメンバーを入れ替えましたが、試合に出る選手が結果を出すというサイクルに入れている。目の前の1試合に集中して戦えている。しっかりと勝てたのは良かったです」

 誰が出ても臨む姿勢とスタイルで臨めている事実は、チームの総合力が高いことの証だろう。前節の仙台戦は今季初先発の選手が多かったものの、5-1で大勝した。そしてこの日の徳島戦もきっちり2-0で勝利。相手にほぼ何もさせなかったが、勝利を良しとする一方で、谷口はノルマが達成できなかったことを反省した。

「前半に2点を取ることができて、後半は3点目、4点目を狙っていました。相手もボールを大事にするスタイルで、多少、自分たちがフラストレーションがたまるような時間帯もありました」

 前半からアグレッシブに戦い、2ゴールを記録した。しかし、後半は追加点を狙いながら叶わなかった。今季、掲げている3点以上という目標を成し遂げられなかったと悔やんだのだった。

 勝ってカブトの緒を締めるのは当然で、そもそもその勝ち方にも、こだわっている。もっと良いゲームができなかったのか。もっとゴールを挙げられたのではないか。自らを省みて、課題を認識し、修正し、そしてまた試合に臨む。昨季、連勝記録を伸ばし、他チームに圧倒的な差をつけながらも、なおチームが成長を続けられたのは、こうしたサイクル当然のこととして繰り返したからだろう。相手の対策や研究を上回り、今季も開幕から4連勝。好循環が続いている。

「勝っているというのも頭にありながら、試合を決定づける3点目、4点目が欲しかった。ゴールを取り切れなかったことは今後の課題」

 前半から積極性を示し、複数得点し、相手をわずかシュート2本に抑えて無失点を実現した。きっちり勝ち点3を手に入れている。点差は2点だが、内容的には完勝だった。それでも、谷口キャプテンは課題を見つめる。つまりは慢心とも、無縁だ。王者につけ入るスキは見当たらない。今季、チームが目指しているのは「昨季の自分たちを超える」こと。

 谷口の姿勢と言葉は、飽くなき向上心に貫かれている。チームの船頭たるキャプテンの言動が、好影響を与えているのは言うまでもない。


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