「個人の力で奪いきれるようになりたい」
2020年に圧倒的な強さを見せつけてJ1リーグと天皇杯を制した川崎フロンターレを刺激する、清々しい若武者が現れた。橘田健人だ。
桐蔭横浜大から加わったMF。2月20日、FUJI XEROX SUPER CUP 2021 のガンバ大阪戦で64分にピッチに飛び出してプロデビュー、終了直前に決勝点が決まる3-2の劇的勝利をものにして、いきなり優勝メダルを手にしてみせた。J1開幕の2月26日、横浜F・マリノス戦でも同じく64分から登場すると、2-0の完封勝利に貢献した。
G大阪戦では前半に2点を先行しながら、後半に盛り返されて一度は追いつかれた。横浜FM戦でも同じく前半に2点をリード。同じ轍を踏むわけにはいかなかった。
そこで鬼木達監督はG大阪戦と同じように中盤のマイナーチェンジを仕込んだ。ジョアン・シミッチに代えて橘田を投入、シミッチがいたアンカーには田中碧を据えて、橘田を左のインサイドハーフへ。
「守備の強度と攻守のバランスのところで、(田中)碧を中央に置きました。健人は守備も攻撃も予測がよくて、押されていた状況で危険なところを抑えられるので、そこを期待しました」
そんな鬼木監督の意図は、橘田自身も十分に理解している。
「(起用される理由は)守備の予測の部分だと思います。終盤に運動量が落ちてきたときに、守備の強度を上げるためだと思います」
具体的には、「前へ」のアクションだ。
「みんな守備の部分で中盤から前に出られないことがあるので、自分が前に出て、そこでもし後ろを通されてもプレスバックすればいいと思います」
運動量も自慢だから、通されたらまずい、ではなく、通されても大丈夫、という発想なのだ。
「連動して予測するところはいいのですが、個人で取りきるところはまだまだ。体で当たり負けしてしまうので、個人の力で奪いきれるようになりたい」
「攻撃の質については、ゴールにつながるパスを出せていないので、できるようにもっと関わって出していきたい」
出場2試合で得た刺激が、ますます心と体を活性化させる。ルーキーの未来が楽しみだ。