川崎フロンターレの最終ラインには、今年もこの男が仁王立ちだ。ジェジエウが相変わらずの強さと速さで堅守に貢献している。圧倒的な強さを見せて2冠を達成したあとの今年の目標は、すべてのタイトルを取りにいくことだ。

上写真=今年も川崎フロンターレのゴール前に立ちはだかるのはジェジエウ!(写真◎小山真司)

ブラジル人同士で日本語

 ブラジル人センターバックとブラジル人アンカーが、日本語で指示を出し合っている。川崎フロンターレ2021の「ニューノーマル」だ。

 今季、ジョアン・シミッチが名古屋グランパスから加わってアンカーのポジションに入った。センターバックのジェジエウにとっては、すぐ目の前でプレーする選手と試合中に細かいやり取りをする上で、母国語であるポルトガル語を使えるのは心強いはず、と思ったら…。

「もちろん、ポルトガル語が通じるから楽にコミュニケーションを取ることができますが、練習でもそうですしゲームが始まると日本語を使ってコーチングすることに慣れているので、逆にブラジル人同士でも日本語なんですよ」

 一瞬のコミュニケーションが勝負を分けることもある試合中では、確かにその方が確実性は高まるだろう。

 FUJI XEROX SUPER CUP 2021 のガンバ大阪戦、J1第1節の横浜F・マリノス戦とまだ2試合しか公式戦を戦っていないが、2人の縦関係のコンビネーションは上々だ。

「ジョアンの特徴は空中戦にも強いことです。中盤でロングボールの対応もできるようになったし、もし彼を越えてきたら自分がカバーするという連係は取れていると思っています」

 相手にとっては壁の前にまた壁ができてやっかいだが、攻撃面でも早くも頼りになっている。

「ジョアンが入ったことで中盤のボリュームが上がったというイメージがあります。顔を出してくれてボールを運んでくれるし、ビルドアップの中で力になってくれています。ゴールが生まれるときは後ろから運んで前で決まるので、中盤の底に彼のような選手がいると大きな力になってくれます」

 ジェジエウの足元にボールが収まったときに、パスの出口としてシミッチが機能している。

 攻守ともに新しい仲間を加えて、今季も上々のスタートだ。その先に見据える目標は欲張りにも見えるが、川崎フロンターレなら、ジェジエウならやってしまうのではないかと思えてしまう。

「目標は全タイトルを狙いたいということです。目標は常に高く持っていた方が、そこに向かって道が拓けると思います。ACLを取ります、とか、Jリーグを取ります、とか、どれか一つだけではなく、全タイトルを取りにいくという強い気持ちで戦います。あと、ゴール数は29点ぐらい取れればいい結果になるのではないでしょうか」

 最後の目標は自分で言って自分で大爆笑していたが、全タイトルを、ということは得点王も狙いにいくつもりなのかも?

 ともかく、「常に目標を高く持つ」という点においては、これ以上ない設定だ。まずは3月3日のJ1第11節セレッソ大阪戦で一発決めてもらうとしよう。


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