北海道コンサドーレ札幌が9年ぶりにホームで迎えたシーズン開幕戦で勝利を飾った。直前までミシャことペトロヴィッチ監督が来日できないなど不安もあったが、これまで積み上げてきた力は本物。5-1で横浜FCに大勝した。

上写真=開始2分に先制ゴールを挙げた駒井善成(左/写真◎J.LEAGUE)

■2021年2月27日 明治安田生命J1リーグ第1節(@札幌ド/観衆11,897人)
札幌 5-1 横浜FC
得点:(札)駒井善成、金子拓郎2、アンデルソン・ロペス、チャナティップ
   (横)クレーベ

・札幌メンバー:GK菅野孝憲、DF田中駿汰、キム・ミンテ、福森晃斗、MF金子拓郎、駒井善成(82分:高嶺朋樹)、宮澤裕樹、ルーカス・フェルナンデス(70分:菅大輝)、小柏剛(82分:深井一希)、チャナティップ(82分:ドウグラス・オリヴェイラ)、アンデルソン・ロペス(86分:小野伸二)

・横浜FCメンバー:GK六反勇治、DF前嶋洋太(83分:手塚康平)、田代真一、袴田裕太郎、高木友也(46分:伊野波雅彦)、MF齋藤功佑(59分:松尾佑介)、安永玲央、中村俊輔(46分:瀬古樹)、小川慶治朗、FWクレーベ、渡邉千真(59分:伊藤翔)

前半だけで4ゴール

 ミシャコンサドーレは、鮮やかな勝利で2021年シーズンのスタートを切った。相手がつなごうとすれば、マンツーマンの守備でしっかりハメてビルドアップを阻害。中盤を飛ばし、2トップにボールを集めてくれば、セカンドボールの回収率で大きく上回った。

 相手の自由を奪う守備の好リズムが、攻撃にもつながっていく。前で奪えばショートカウンターを狙い、後ろでマイボールすれば、ボールを積極的に動かしてスペースを見いだし、突いていった。攻撃ではとりわけ1トップ+2シャドーの距離感が良く、大卒ルーキーの小柏とチャナティップが裏に走り込み、A・ロペスがボックス内で脅威を与え続けた。そこへ右翼の金子拓郎が雄々しく羽ばたき、積極的にゴールを狙ってみせる。

 相手を圧倒する札幌は、前半だけで4ゴールを集めた。内訳はこうだ。小柏のプレスから相手のクリアミスを誘い、奪った駒井がボックス外から決めて先制。2点目は小柏が中央をドリブルで進んで右へ展開。パスを受けた金子がカットインから左足を振ると、シュートはDFに当たって方向が変わりネットに吸い込まれた。開始わずか4分で2点をリードした。

 3点目は見事なコンビネーションからだ。相手GKのキックを競り合って、ボールを収めたところが攻撃がスタート。自陣でパスを回し、相手をのプレスをはがすと、チャナティップが持ち上がり、小柏、さらに右サイドをオーバーラップしていた田中へと展開。中央で再び田中からパスを受け取ったチャナティップがダイレクトで相手最終ラインの裏へ浮き球パスを送り、タイミングよく飛び出した小柏がこれまたダイレクト中央へ折り返す。そこへA・ロペスが飛び込み、ネットを揺らした。

 スタートからフィニッシュまで、ドリブルをはさみながら15本のパスがつながっている。これぞまさにミシャスタイルというアタックで、3点目を生んだ。4点目は前半のアディショナルタイム。A・ロペスが中央を独走。シュートはGKに防がれたが、こぼれ球を拾った金子が左足でコントロールショットを決めた。

 前半途中に自陣でのパスミスからボールを失い、クレーベに1点を返されたが、札幌は前傾姿勢を維持し、攻撃的に戦い続けた。後半の75分にもパス交換から駒井が裏に飛び出し、最終ラインを突破すると、折り返したところにチャナティップが走り込んで右足を一戦。この日、5点目を叩き込んだ。

「今日のゲームは相手のボールを奪ったところからのショートカウンターが効いていたと思いますし、相手が下がったら、しっかりビルドアップをして攻撃を仕掛けていくことができた。速攻と遅攻のメリハリと質が高かった。相手からボールを奪った瞬間に、相手が使われたら嫌なスペースを使えていたと思いますし、遅攻の場面では意思疎通ができ、連動した動き出しの中で攻撃ができていた」

 オーストリア帰国中に骨折し、開幕直前まで来日できなかったペトロヴィッチ監督だが、合流から数日間でプレーテンポの確認と共有を選手に求め、ものの見事にチームを機能させた。キャンプを指揮した四方田修平コーチらスタッフの手腕も見逃せないが、これまで積み上げてきたものがチームに根付いている証拠でもあるだろう。

 札幌は今季、ACL出場権の獲得を目標に掲げている。それはつまりペトロヴィッチ監督就任初年の2018年に残した4位以上を狙うということ。クラブの過去最高成績を更新するということでもある。まだシーズンの38分の1が終わっただけだが、この日の戦いぶりは、その大きな目標が決して絵空事ではないと証明していた。


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