上写真=オンライン会見で笑顔を見せる両監督。それぞれの思いを語った(写真◎スクリーンショット)
10年前と同じ広島での開幕戦
今回のオンライン会見は、ホームの城福監督が先に答えてから、アウェーの手倉森監督が答える形で進んでいた。しかし終盤に「相手チームの警戒すべき選手は?」との質問が飛ぶと、城福監督が笑顔で「今回は手倉森監督から、というのはいかがですか?」と水を向けた。
敵将からのけん制? に「じゃあ、僕からでいいですか」と笑顔で応じた手倉森監督が挙げたのは、MF青山敏弘。「広島とやるとき、常々脅威に思っていたのは青山選手。長短のパスを使い分けるプレーは、ゲームコントロール力を示すものだと思っている」と語り、「彼のリズムの術中にはまらないように気を付けなければいけない」と注意点を挙げた。
続いて城福監督が挙げたのは、新加入のFWマルティノスだった。「ツボにはまったときの破壊力、精度は、F・マリノス時代も浦和時代も目の当たりにしている。彼のストロングポイントを出させないようにしなければいけない」と語った指揮官は、「フリーでクロスを上げさせたら、皆川(元広島FW皆川佑介)のヘディングの強さも生かされる。ストロングポイントを出せる頻度を、いかに少なくするかがカギになると思う」と続けた。
広島で4年目を迎える城福監督は、会見冒頭で「仙台は策士の手倉森監督に代わったので」と言った場面でも笑顔を見せたものの、すぐに表情を引き締めて「やれるサッカーのベースがありながらも、しっかり対策もされるだろうと覚悟している」とコメント。その上で「我々も臨機応変に対応できるように。今年のJリーグを乗り切るための、一つの大きな難関だと思っている。しっかり対応して、勝ち点3を物にできるような試合をしたい」と意気込みを語った。
一方、8年ぶりに仙台で指揮を執る手倉森監督が冒頭に語ったのは、10年前の記憶だった。今年は東日本大震災から10年という節目の年。2011年シーズンも仙台の開幕戦は広島とのアウェーゲームで、0-0で引き分けた試合の6日後に震災が起こっている。
「節目の10年目に、また広島と開幕戦をやれる。あの当時を思い出すようなシチュエーションが、ベガルタ仙台のサポーターの皆さんにはあると思う」。そう語った手倉森監督は「懸命に勝利に向かい、タフにたくましく戦う姿を見せて、今年のベガルタ仙台の可能性を示せる試合を見せられればと思う」と決意を新たにしていた。
城福監督はセットプレーの重要性など、手倉森監督は勝負勘などもポイントに挙げた。城福監督が「策士」と表現した手倉森監督が、逆に「広島と言えば策士・城福さん」と語る場面も。笑顔の裏にある両指揮官の思い、実際の采配は、勝敗にどのような影響をもたらすだろうか?