上写真=オンライン会見で意気込みを語る川崎Fの鬼木達監督(写真◎スクリーンショット)
昨年以上を目指さないと超えてはいけない
シーズンのスタートとなる一戦に臨む川崎Fのスタンス、すなわち鬼木監督の姿勢は「確認」「結果」「責任」という言葉に集約されるだろう。
まずは「確認」。昨季、あれだけ圧倒的な成績でJ1制覇を果たし、天皇杯との二冠も達成したが、指揮官は「まだまだ改善の余地がある」「もっと相手を圧倒して勝ちたい」とさらなる向上を目指してきた。高い位置からの守備で相手に圧力をかけて押し込み、ボール奪って攻め落とす。引いて守られても技術力と的確なポジショニングでゴールをこじ開ける。そんなチームになるために、キャンプでもブラッシュアップに力を注いだ。ガンバ大阪との試合では、その取り組みがどこまでできているのか「確認」したいとしている。
「まずは積み上げだとは思っています。昨季は選手が全力で取り組んで、記録的な数字を出してくれました。それを超えるのは簡単なことではないですが、キャンプの前から1日1日の積み上げをしっかりやっていこうと話していました。そしてここまでの取り組みに関しては本当に素晴らしいものがあります。難しいことかもしれないですけど、昨年以上を目指さないと、超えてはいけない。その姿勢をしっかり示したい。その意味で1試合3点というものは常に頭に入れながら戦っていきたい」
もう一つ、「確認」したいのが新戦力の適応度だ。今オフには中村憲剛が現役を引退し、守田英正が移籍したが、新たな中盤のユニットは何ができて何が出来ないのか。そのあたりをしっかり公式戦で確かめたいところ。「彼ら(中村、守田)の抜けたところがどうこうというのは、もう全然ありません。やはり新しい選手、既存の選手もですが、新しいパワーで、その選手の特長をどんどん生かして面白いサッカーをしたい」と指揮官には穴埋めの発想はなく、新戦力を組み込むことで生まれるプラス効果に期待を寄せている。新戦力を組み込んだ中盤がどんなコンビネーションを見せるのか。小塚和季やジョアン・シミッチ、塚川孝輝らがどんなプレーを見せるのか。そしてどれほどフィットしているのかは、今回の一戦で注目されるポイントの一つだろう。
これら確認作業をしっかりと進める一方で、指揮官は「結果」を求めることも忘れないと強調した。「勝負事ですので勝利にこだわりたい」と話し、取れるタイトルはすべて取るつもりだ。監督とともにオンライン会見に出席した谷口キャプテンもその点は同じだった。「シーズンを通してなかなか一発勝負を経験できる機会はそんなに多くはないので、その緊張感を楽しみながら、なおかつ結果にこだわりながら戦いたい。しっかり勝ってリーグ戦に弾みをつけられるようなゲームをしたい」と勝負にこだわる姿勢を示している。
とはいえ、ただ結果を出せばいいわけでもない。求めているのはやはり内容が伴った試合をした上で結果を出すことだ。鬼木監督は常々、選手に対して「自分たちが日本サッカーを盛り上げよう」と話し、J王者としての「責任」を求めてきた。「選手には楽しんでほしいと思っています。自分たちのサッカーでは、やはり楽しんでいる姿を見ている方にも楽しんでもらいたいという思いがありますから。もちろん勝負に対する姿勢が抜け落ちてはいけないですが、その両方をしっかりと持ちながら、久しぶりのゲームなので、選手には楽しんでほしい」と自分たちのスタンスについて改めて語り、「このゼロックススーパーカップを皮切りにJリーグが始まるんだと、みんながワクワクするようなそんなゲームをしたいと思っています」と、Jリーグ全体、ひいてに日本サッカー全体をけん引するチームとしての自覚を口にした。
ゼロックス杯はキャンプでの積み上げ、つまりはチームの現在地を確認する試合であり、結果を求める試合であり、責任を示す試合でもある。飽くなき向上心を持って進む鬼木フロンターレの2021年初陣。注目の試合は、本日13時35分にキックオフされる。