上写真=キャンプで自身の特長を発揮し、トレーニングしている宮城天(写真◎KAWASAKI FRONTALE)
プロは特長が必要な世界
J3の富山に期限付き移籍していた昨シーズン、宮城には常に意識していたことがある。
「1年で戻るというのは前提にありました。なので、練習や試合では、このプレーはフロンターレで通用するのかと自問してきた毎日でした。だから今年、戻るとなったときもビックリするすることはなく、レベルは高いですけど、自分が今やれることはできていると思っています」
フロンターレのアカデミー出身。トップ昇格を果たして即、武者修行に出た。昨季、富山では20試合に出場。3ゴールを記録している。「レンタルされたときに一から体を作り直そうと思いました」。プロ通用する体を手に入れるため、フィジカル強化に努め、1年前よりも体は大きく、たくましくなった。「重くなってしまう筋肉の付き方はよくないと思ったので、最低限守れる体にして、戦える体にしよう」と、自身の武器であるスピードやキレを落とさないように、肉体改造に取り組んだ。
「去年J3でプロとユース世代のプレー強度の差を感じました。プロでやっていくには、特長が必要だなと改めて思いました。特長がないと(試合に)出してもらえない世界。J3に行って、自分の通用する面、ドリブルだったり、スピードだったり、ゴール前でのプレーについては自信をもってやることができたんですけど、それ以外にフィジカル的なことはまだ全然満足できていません。そこで課題が見えたのは収穫でした」
目指すところはまだまだ先。それでも「簡単にボールを奪われること」は減ったと実感する。努力が着実な成長へつながっている。むろん、本人も話しているように川崎Fでは「新人」だ。キャンプではまず、「自分の特長をチームメイトに分かってもらって、監督の信頼を少しずつ得ていく」ことに注力している。練習試合に出場し、攻撃面の特長は示していても、「(チームに加わって)そんなに時間が経っていないので、やれているという感覚はない」ときっぱり。自分の立ち位置をしっかり確認し、「自分の特長を少しずつ出して、監督の要求を応えようと頑張っています」と前向きに話した。
「試合に出て活躍したい気持ちはありますし、まだまだ自分の課題は多い」
焦らず、しかし前のめりに課題に取り組んで、ピッチに立つことを目指す。今季のJリーグは引き続き5人の交代枠が認められることになり、若手にとってチャンスは広がっている。しかも、川崎FはACLに出場するため、タイトな日程を戦う。待っているのは文字通りの総力戦だ。訪れたチャンスをしっかりつかめるかどうか。そのための準備を、宮城は今、進めている。