上写真=体調面も頭の中の整理も「去年よりも余裕がある」と中村俊輔は話した(写真提供◎YOKOHAMA FC)
背番号10は「最後は自分で」
昨季は故障の影響もあり、自身の力を発揮しきることはできなかった。ベンチ外になるケースもあり、三ツ沢球技場のスタンドから試合をことも多かった。練習でもスタメン組に対峙するチームに入り、トレーニングする機会もあったという。
「(昨年は)こういう時期もいつかは来るんだなとは噛みしめながらやっているという感じはありました。もちろん悔しいし、もっと試合に出ればできるというのもあるんですけど、チームでやることというのはもちろんある。そこを合わせつつ自分の色を出すという作業は難しい。自分の色を出して、決定機を作れてしまうけど、当然、チームのやり方が最優先で、そこは僕みたいなタイプには難しいと思います。(そこをすり合わせるのが今季のテーマ?)そうですね。足首の状態もいいですし、去年よりもチームのやり方が分かっている分、体も頭も入りやすかったので、番号も番号ですし、去年よりかは長い時間で自分の色を出せるかなという感触はあります」
今季は46番から10番へと背番号を変更した。それはクラブからの提案だったが、自身は若いときに10番を託され、プレッシャーに感じつつも成長できた経験から若い選手やクラブの生え抜き選手が付けた方がいいのではと一度は躊躇したという。だが、「最後は自分の意思で」。今年6月に43歳になるが、強い意欲をもって新シーズンに臨む。
「フィジカルとか、動きのスピード感の衰えはあるとは思いますけど、そこに逆らってやりたい。もちろん、ある程度のプレースタイルまでは変えていかないといけないし、所属させてもらっているチームでどうやったら自分が必要になるのか、という部分で多少、変身していかないといけない。ただ、去年のような時間を過ごしてちょっと吹っ切れて、自分にしかできないプレーをどんどん出していこうかなと思っています。チームとしてやることがある中でも、そういうものを忘れてしまうと、自分の中でサッカーやっている価値がなくなってしまう。それをグラウンドで見せれば、見ている人も楽しんでもらえると思うし、勝ち点も増えていくと思うので。そっちの割合を今年は増やしていきたいですね」
当然ながら、独善的なプレーをするということはない。チームの枠組みを踏まえた上で、自分の色をしっかり出していく。自分にしかできないものを見せていく。中村俊輔の才を、バランスを見ながら開放するということだ。J1最年長ゴールの期待もかかるが、「そもそも1点取ったくらいでは、というのがあるし、最年長とかそういうのはないですね。カズさんも思っていないと思います。本心は試合に出ただけでは、というのがある。カズさんもそうだと思います。もっと点を取らないけないし、アシストもしたいと思っています」と、目指すのは記録よりもコンスタントにプレーすることであり、チームの勝利。
横浜FCの新ナンバー10は、覚悟を決めている。