上写真=プレーでも精神面でも柏を引っ張る大谷秀和。新シーズンへの誓いとは(写真◎小山真司)
■2021年1月4日 JリーグYBCルヴァンカップ決勝(@国立競技場/観衆24,219人)
柏 1-2 FC東京
得点:(柏)瀬川祐輔
(F)レアンドロ、アダイウトン
「素直におめでとうと思いますけど…」
キャプテンとして、悔やまれるばかりの敗戦だ。
「決勝なので、最終的に結果が出なかったことに対して悔しい気持ちが強いですね。全員で積み重ねて戦ってきた中で、一番上の景色を見ることができなかったことが残念です」
柏レイソルが3度目のリーグカップ優勝を狙った一戦。最初に優勝した1999年には大谷秀和はまだ所属していなかったが、柏のアカデミーの一員として、優勝したトップチームの選手たちを誇らしく見上げていた。
前回優勝の2003年のシーズンは、主力として戦っていた。しかし、決勝は出場停止で、仲間の奮闘を見守る側に回っていた。だから、柏一筋のこの男も、リーグカップでは最初のファイナルだったのだ。
しかし、勝てなかった。
「7年前も今日もそうですけど、自分が出る出ないではなく、チームが勝てばそれが一番です。ピッチに立って責任を持って戦った以上、結果を出せなかったことに対してピッチに立てなかった選手やメンバーに入れなかった選手に申し訳ないと思います」
ヒシャルジソンと並んで中盤の守備を引き締め、FC東京がそれを嫌がってかどんどん前線に放り込んでくれば、そのボールを回収した味方からボーを預かって、柏自慢の攻撃陣、クリスティアーノ、江坂任、瀬川祐輔、そしてオルンガに配っていった。
だが、違和感は拭えなかった。
「カウンターを受けた場面は、結局は自分たちのミスから相手に前向きで運ばれてということだったので、相手よりも自分たちに問題があったと思います」
「前半の早い時間は中盤が5人で江坂のパスのラインを警戒して締めているなという印象を受けていたんですけど、その分、外は時間の経過とともにパスコースが開いたので、もう少し効果的に使えなかったのかな、というのはあります。チームとして攻略できれば、チャンスももう少し作れたんじゃないかと思います」
いつもなら、右のクリスティアーノも左の瀬川も中央の江坂も、よりスムーズに攻撃を仕掛けることができる。だが、瀬川が「シンプルな攻撃が多すぎた」と振り返ったのと同じことを、大谷も感じていた。
「中も使えれば使いたかったですけど、中盤の真ん中の3人が気を使って締めていましたし、スカウティングで外のところはルーズになるという分析があったので、相手が中を警戒していた分、外を使ってというのが意図的にありました。もう少し出し入れをしながら外を使ったり、外から中という動かし方だったり、バリエーションが少なかったので、そういうところは課題かなと思います」
表彰式で遠慮なく喜びを爆発させるFC東京の選手たちを見て、感じた思いは隠さない。
「この敗戦は生かさないといけないですし、表彰式を横から見るのは1位と2位ではまったく違います。FC東京の選手たちが力を出し切って得た結果なので素直におめでとうと思いますけど、あれを横から見ているのは非常に悔しい。自分たちが次はあの位置にいたい、またタイトルを争う舞台に戻らなければいけないと強く思いましたね」
2021年1月4日はプロ18年目の終わりであり、19年目のスタートだ。栄光の柏レイソルを取り戻すために、また戦いの日々が始まる。