FC東京のクラブコミュニケーター・石川直宏とクラブナビゲーターの羽生直剛が1月4日に開催されるルヴァンカップ決勝を前に、カップ戦決勝のポイントと今回の見どころを語り尽くす。歯に衣着せぬ発言は、試合開催日に二人で5時間半にわたり生配信している『青赤パーク』さながらだ。3度、タイトルを手にした経験者ならではの視点で語る。

オシムさんに引き上げられて自信を手にしたから取れた(羽生)

画像: 09年、主将として優勝に貢献した羽生。試合後、キャプテンマークを藤山の腕に巻いた(写真◎J.LEAGUE)

09年、主将として優勝に貢献した羽生。試合後、キャプテンマークを藤山の腕に巻いた(写真◎J.LEAGUE)

――羽生さんは05年、06年と連覇しています。

羽生 最初の年の決勝の相手はガンバ大阪でしたが、その年はリーグ優勝するチームで、とにかく強かったイメージがあります。0-0でPKで勝ちました(5-4)。翌年(06年)は逆にリーグ戦であまり調子のよくなかった鹿島と対戦しました。僕らは前年に一度優勝を経験していることもあって、出し切ることができればチャンスがあると思って試合に臨めました(0-2)。初優勝するときはある程度、勢いとか、運とか、そういうものも必要だと思います。それで一度、タイトルを取ると選手もそうなんですけど、クラブとしても自信がついてくる。
石川 リーグ戦とカップ戦ではまたちょっと違うと思うけれど、当時、僕はFC東京がさらなる成長を遂げるのであれば、優勝をみんなが経験して、その味を知ることが必要だと思っていました。何が必要でどんなことをすればいいのか。それを知ることが大きいと思っていたんです。実際、表彰のときに見た景色は何度でも味わいたいと思うものだったし、それは選手としての大きなモチベーションになりましたね。
羽生 自分よりも年齢が下の選手たちに、語れる材料にもなるんですよ。若い選手たちに「優勝しよう」と言っても経験していないと説得力もないし、ナオが言ったように「こんな景色があるんだぞ」って言えると言えないとでは大きく違う。
石川 それが歴史や伝統をつくることにもなりますしね。
羽生 例えば決勝に進むとビジネススタッフも、このタイミングでTシャツを作るとか、グッズを用意するとか、祝勝会を準備してとか、そういう経験をするわけじゃないですか。それで優勝を経験すると、クラブとして一つ上のレベルに行ける。その後のクラブの運営も変わってくると思います。クラブ力というか。それに優勝を経験することで目標設定がより具体的になる。どうやれば勝てるかを知るからです。川崎フロンターレはいい例じゃないですか。一つタイトルを取って、大きく積み上がった。鹿島アントラーズはずっと前からそうですけど。

――次にFC東京がタイトルを取るのは2009年。羽生さんと石川さんがともに優勝に貢献しました。

石川 2009年は城福(浩)監督が2年目で、ムービングフットボールをどれだけ高めていけるかというシーズンでした。大きかったのは、この年もチームが一つになっていたことです。僕はケガで決勝には出られませんでしたが、スタンドからサリさん(浅利悟)と一緒に見ていました。サリさんは決勝で試合に出ることを目指してやっていたし、そういう人の思いをみんなが分かってプレーして、一つになっていた。優勝したから一つになったんじゃなくて、一つになったから優勝したんですよ。
羽生 (当時のサッカーマガジン増刊号を見ながら)良いことを言ってるよ、ナオ。サリさんのおかげでチームが一つになったと。あっ! 僕も良いことを言っていた。「表彰式の後、キャプテンマークをサリさんに、メダルもフジさんに渡しました。チームを支えてきたのはサリさんとフジさんだから、二人につけてほしかった」。
石川 それでカボレのユニフォームを着てましたもんね、ニュウさん。
羽生 そう言われるとなんか、偽善者っぽいな(笑)
石川 あの大会は負ける気がしなかったというのはありますね。リーグ戦も何戦負けなし、みたいな感じで進んでいたし、チームも充実していた。

ーーサイドハーフは右が石川さん、左が羽生さんでした。

石川 僕を生かしてくれる人でしたよ、ニュウさんは。ボールを持つ少し前から動き出して、そうしたら必ず生かしてくれる。アシストもたくさんしてもらいましたしね。代えの利かない選手でした。あとは決勝で活躍したヨネ(米本拓司)がルーキーでいたり。いまこうやって名前を挙げても、あのチームはみんながどういうプレーしていたか鮮明ですし、役割も明確でしたね。
羽生 カボレが途中からいなくなってね(決勝進出を決めた後、カタールのアルアラビへ移籍)。2009年の思い出は…そうそう、カップをうまく掲げられなかったんですよ。タイミングがずれてしまって。徳永悠平が俺の足を支えていたんですけど、すごい揺らしてきて、「おい、やめろ!」みたいな感じで言っていたら、なんか始まったちゃったという。
石川 優勝して興奮するとかではなく、余裕があったんですね。
羽生 いや、プレッシャーは多少なりともあったかな。城福さんと同じタイミングでFC東京に来て2年目で、何のために来たかって言えば当然タイトル獲得への貢献を期待されているわけで。その意味で結果を出さなければという思いは強かったと思います。キャプテンだったからというより、優勝を経験している者としてチームを引っ張らないと、という思いはありましたね。みんなにはいつも通りにやろうと声をかけていました。「ボールを触ろう」とか「いつも通り楽しもう」とか、キャプテンぶって。
石川 はははは。
羽生 でもヨネのゴールが決まったあとですよね、それができたのは。あの一発で勇気をもらったいうか。
石川 確かに、あれは大きかった。
羽生 カップ戦の決勝って、むしろそういうことで決まるんですよね。一発で流れが決まるというか。それで相手が前に出ざるを得ず、(平山)相太が決めて、2-0で勝った。


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