上写真=天皇杯準決勝で三笘薫は先制ゴール。川崎Fらしい鮮やかなコンビネーションから決めた(写真◎小山真司)
2021年は代表で、そして五輪で活躍したい
輝かしいルーキーイヤーの締めくくりは、もちろん笑顔で終えてみせる。Jリーグベストイレブンにも選ばれた三笘薫にとって、初めての天皇杯決勝は「雰囲気は分かりませんが、いつもどおりのプレーを心がけたい」と平常心で臨む。
相手のガンバ大阪には、11月25日のJ1第29節で5-0と圧勝している。三笘は2アシスト。その活躍に加えて、今回は決勝という一発勝負の舞台でもあるから、なりふり構わず厳しいマークを仕掛けてくることが予想できる。三笘はそれをどうかいくぐり、どうゴールに迫っていくのかについて「いろんなアイディアがある」と明かすのだ。
「前回対戦ではサイドバックの選手が外になびいて、うちのサイドバックからフォワードに当てるパスが有効でした。そこに対してどれだけ対策してくるのかですけど、(小林)悠さんなのか(レアンドロ・)ダミアンなのか分かりませんけど、前線をしっかりサポートして前で連携を取りたいと思っています」
「ボールを持っても、一人抜いてクロスというシーンを増やせれば押し込む形ができると思いますし、最近は右でアキさん(家長昭博)がタメを作って左で仕掛けるシーンも多いですけど、逆もできるように、左で少しタメて中盤でミドルシュートだったり右サイドで仕掛ける形も作りたいと思います。いろんなアイディアありますから、状況次第で考えたいと思います」
単独突破でも、左サイドからのコンビネーションでも、あるいは右で作って左で仕留める形でも、そして前回対戦でアシストしたカウンターでもゴールを陥れる自信がある。
天皇杯準決勝のブラウブリッツ秋田戦では先制ゴールを挙げて、調子は上向きだ。そのゴールはいかにも川崎Fらしい象徴的な一撃だった。
ボールを素早く動かしながら、家長昭博が縦パスをつけてレアンドロ・ダミアンがポストワークで優しく流し、受けた大島僚太がていねいに前に送ると、絶妙のタイミングで左から中央に走り込んできた三笘が足の裏でボールを前に運んで、右足でゴール右に流し込んだ。それぞれのハイクラスの技術が生んだ鮮やかなコンビネーション。
「(ラストパスをくれた)大島選手とは同じサイドで組むこと多いですが、サポートしなくても全部やってくれて、僕が近づいていかなくても相手を引きつけて出してくれたり、ターンして裏へ入れてくれるのでストレスを感じずにプレーできています。大島選手じゃないとできないですし、フィーリングが合うと思います。前回も素晴らしいパスをくれたので、僕もアシストできればと思います」
「あのタイミングでパスを出すとしたらあのボールしかなかったと思います。もう一つ僕が遅く入ると相手に前に入られる可能性ありましたし、全部のプレーが良かったと思います。(最初のボールタッチも)アウトサイドでいけばミスしたかもしれませんし、インサイドでいけば遅くなるので、足裏ならいきやすいと判断しました。あそこに出せるのが大島選手で、信じて入ったらあのボールが来たんです」
天皇杯決勝は今季ラストゲームであるのと同時に、2021年の最初の試合でもある。来たるべき2021年という未来に何を見据えるのか。
「大雑把に言うと代表に入って活躍することですね。あとは、オリンピックに出て活躍したいです。でも、自分の中の成長の指標というか、成長具合で手応えがあるかどうかが大事なので、練習の中でどれだけ(ドリブルで)抜けるか、そして相手を上回ってスプリントできるかという細かい要素の積み重ねだと思っています」
夢は大きく。しかし、それをかなえる方法は細かく。そのことをこの1年で学んで実践して成功してきた。さらなる飛躍を見据える2021年の始まりは、やはり天皇杯を掲げることでスタートさせたい。