Jリーグは年間で活躍した選手などを表彰、2020年のベストヤングプレーヤー賞は、セレッソ大阪の瀬古歩夢に決定したと発表した。堅守を誇ったC大阪のセンターバックとして相手の攻撃を止め続けた若武者に拍手!

上写真=瀬古歩夢は27試合に出場してチームの4位に大きく貢献した(写真◎J.LEAGUE)

「ミスをすぐ取り返すことができました」

 ガクッとヒザをついたあの瞬間から、およそ2カ月。瀬古歩夢は今度は堂々と胸を張った。2020年のベストヤングプレーヤー賞に輝いたのだ。JリーグYBCルヴァンカップのニューヒーロー賞と同時受賞となり、今年の若手の星になった(ほかに同時受賞は1996年斉藤俊秀=清水エスパルス、2002年坪井慶介=浦和レッズ、2016年井手口陽介=ガンバ大阪)。

 2カ月前のあの瞬間、とは、10月24日、J1第24節の浦和レッズ戦だ。ドリブルで進入してきた汰木康也を引っ掛けてしまいPKを与えて同点とされた34分、山中亮輔の強烈なミドルシュートがたまたま当たってしまってコースが変わり、ゴールに転がり込んで逆転を許した44分と、2つの失点に絡み、この2つ目の失点を食らった瞬間にヒザをついてうなだれたのだ。

 特にこの2点目は不可抗力だったものの、ロティーナ監督は59分に瀬古をベンチに下げた。そしてここから2試合、およそ1カ月の間、試合に起用しなかった。だが、ベンチから試合を見せた。それはロティーナ監督の優しさだったのだろう。

 ヤングプレーヤー賞に輝いて、改めてそのときを振り返った。

「アウェーの浦和戦で2失点に絡んで、途中交代して、ダメな試合でしたね」

「失点に絡んで次から出られないというのはいままでになかったことで、もう一度、一からはっきりとやるところはやるということを心がけました」

「練習をしっかりやって、アピールしようということだけを考えていました」

 こうして最後にはまたレギュラーを奪い返して、4位フィニッシュに貢献した。

「大変光栄な賞ですし、狙っていた賞でもあるので、選ばれたと聞いたときは素直にうれしかったです。もっともっと頑張らなきゃなと思いました」と初々しいが、「昨シーズンに比べてコンスタントに試合に出ることができて賞につながりました。今年は守備の部分で成長があったと思っています」と、試合での経験がダイレクトに成長につながった実感を口にする。27試合、2217分の出場はチームで8番目の長さだ。昨季は13試合の出場だったから、倍以上の試合をこなした。

「昨シーズンに比べて、課題だった対人の強さは今年はうまくできた部分だと振り返ってみて思います。もう一つは状況判断で、それが今季良かった部分かな」

 183センチの長身を生かして、強力なFW陣に向かっていった。体重も公式発表は72キロだが、「過密日程でしたが、回復力はまだ早いのでウエイトトレーニングはやっていました」と筋力アップに励み、「いっとき80キロぐらいまであったんですけど、やばいと思って下げました」と言いつつ、それでも78キロまで鍛え上げたという。「外国人フォワードとやると、ちゃんと当たったときに負けていた部分もあったのですが、今年はそれを少なくしようと思って、去年に比べて少なかったと思います」とその効果を誇った。

 試合に出ることで、実戦でのチャレンジの回数が増えたことに加えて、その頻度が高まったことも、成長の助けになったと振り返る。

「今年はコロナ禍で週に2、3試合ある中で、一つの試合でミスをしてもすぐその2日後に試合で修正できることが良かったと思っています。過密日程の中でミスをすぐ取り返すことができました」

 それも、起用し続けてくれたロティーナ監督の存在が大きい。

「守備の部分で非常に教わった部分が多くて、ポジションの取り方が昨年に比べて的確にできて、監督が評価してくれて使ってくれたのではないかと思っています」

 そのロティーナ監督はチームを離れるが、この賞が最後に最高のはなむけになっただろう。

 さらなる成長への道を進むために、まっさきに自分に課すのは攻撃の起点としての役割だ。

「ビルドアップの質は高めていかなければと思っていて、今後磨いていかなければいけないと感じています」

 2021年も瀬古歩夢に注目だ。自分に約束する未来も頼もしい。

「来年はこの賞をいただいた分、恥じないプレーをしなければいけないと思っています。セレッソとしてはリーグ優勝、個人ではベストイレブンやMVPを狙ってやっていきたいと思います」


This article is a sponsored article by
''.