今季は24試合に出場した沖悠哉(写真◎J.LEAGUE)
■2020年12月19日 J1リーグ第34節(@カシマ:観衆11,251人)
鹿島 1-1 C大阪
得点:(鹿)エヴェラウド
(C)松田陸
「自分はもっともっとレベルアップできる」
沖悠哉の目には、涙があふれた。C大阪戦では柿谷曜一朗との1対1の場面でシュートをセーブするなど、再三にわたり相手の決定機を阻止したが、たった1本のミドルシュートを止めることができず、結果は1-1の引き分け。来シーズンのAFCチャンピオンズリーグ出場の可能性はついえ、21歳のGKは肩を落とした。
「勝たないといけない状況の中で、こういう注目される試合になってくると、勝敗を決めるのはキーパーだと思っています。今日はそんなゲームをやっていて、キーパーの差で相手は引き分けに持っていった感じがします」
シュート数では鹿島がC大阪を上回るも、スコアは1-1。特に後半アディショナルタイムの猛攻の中では何度も決定的チャンスを作ったが、C大阪のGKキム・ジンヒョンに阻まれ続けた。沖は反対側のゴール前で好守を連発する相手GKの姿を見て、「自分はもっともっとレベルアップできる」と言い聞かせた。目指すべきGK像は、鹿島の2人の大先輩。クォン・スンテや曽ヶ端準のように存在感と貫禄を示す守護神だ。
「今日はスンテさんがいるから大丈夫だ、ソガさんいるから大丈夫だ、というような信頼をお客さんに与えることは(自身には)まだまだ足りない。自分が試合に出ていることでの安心感や、セーブする姿を見せることでの信頼は、一生懸命プレーすることで勝ち取っていけると思うので、また来年もしっかり継続していきたい」
日韓の代表チームでも活躍した偉大なGKの背中を見て成長してきたからこそ、その存在の大きさを自らも体現するために精進する。「成長できたことは自分でも実感しているし、周りのお客さんも少しは安心して見られるようになったかな」と、8月8日のJ1デビュー戦から24試合で出番を得た手応えは確かにあるが、クォン・スンテや曽ヶ端と肩を並べるGKになっていくためにも、まだまだ進化を止めない。リーグ戦が終わった後も、沖の戦いは続く。
「(U-23)代表合宿もあるので、そこに気持ちを切り替えてまた頑張っていきたい。
代表に呼んでもらいましたけれど、それは間違いなくチームメイトや監督、キーパーコーチの(佐藤)洋平さん、いろいろな人の支えがあってのことなので、感謝の気持ちを忘れずに、代表合宿でしっかりアピールして、これからにつなげていきたいなと思います」
飛躍のシーズンは、まだ終わらない。12月22日からはU-23日本代表候補トレーニングキャンプに初めて参加する。2021年の東京五輪に向けた新たな戦いが始まる。プロ3年目で得た経験を糧に、沖は次のステージへと向かっていく。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE