上写真=経験や一体感という自分たちの強みをぶつける。酒井高徳が準決勝への思いを語った(写真◎VISSEL KOBE)
「アンドレスが攻撃の一番の武器であることは間違いない」
日本時間で12月13日の19時、いよいよACLの準決勝がキックオフされる。ヴィッセル神戸が韓国の蔚山と激突するこのゲームに勝てば、西地区を勝ち抜いてきたペルセポリス(イラン)と決勝を戦うことになる。
東地区代表決定戦となるこの準決勝で、神戸が蔚山に勝っていると言えば、国際大会の経験ではないだろうか。クラブとしてはACL初出場ではあるが、例えばアンドレス・イニエスタ、トーマス・フェルマーレンのヨーロッパでの経験に加えて、西大伍が鹿島アントラーズ時代の2018年にACLで優勝しているし、酒井高徳がドイツで培ってきたものが還元されているのだ。
「海外の選手と試合をするというのは他の選手よりも経験があると自負しています」とは酒井の実感だ。ただ、経験があればそれでいいというものではない。
「ピッチで表現するのは自分自身のプレーだけでは難しいので、自分が一番大事にしているのはコーチング、近くの選手に話をするということと、試合中に試合の展開を読んでチームにそれを伝える、共有することです」
仲間と話をして伝えて共有をして初めて、酒井の、イニエスタらの経験がチームのパワーとなるのだ。中でも酒井自身は守備面からその威力を発揮するように意識しているという。
「ディフェンスの選手なので、国際大会でどんな守備をしなければいけないかをすごく意識しています。守備のところで強くいくことを示せれば、チームを引っ張っていくプレーができると思います」
特徴でもある強度の高い守備を仲間にも見せることによって、チームを乗せていく。それが酒井が自らに託すタスクの一つだ。
そして、最強の経験値を持つイニエスタをチームとして生かしていくことも、酒井と仲間たちのミッションだ。
「国際大会の経験は彼が誰よりもチームの中で持っていて、この大会で予選からもトーナメントでもどれだけ経験があるかを結果で示しています。絶対的なチャンスや得点、アシストができるのがアンドレスの経験値が出ている部分だと思います。チームとしての落ち着きやアイディアをもたらしてくれて、僕たちの攻撃の舵取りをしています。守備の部分では(郷家)友太や自分といった体を張れる選手がしっかり体を張っていて、いいバランスが取れています。アンドレスが攻撃の一番の武器であることは間違いないですし、試合を決定づける経験は、チームにもたらしてくれる大事なところだと思います」
痛めた右足太ももの状態が心配されるが、イニエスタがベンチにいるだけでも、相手に威圧感を与えることができる。
もう一つ、「一丸」という武器も備えていることを強調した。
「僕たちはここに遊びに来たわけではないですし、この大会でどこまでできるのか、優勝という目標を持ってきたので、自分たちがやれることを理解した上でここに来ています。食事も含めて日本から帯同してくれているスタッフが、僕たち選手が100パーセントのプレーができるようにサポートしてくれていて、充実した期間を送っています。それが結果にもつながっています」
ヴィッセル神戸の名の下に集まったすべての人々が、優勝を勝ち取るために心を一つにしている。
「前回のラウンドで難しい戦いを勝ち抜いて、チームとしてもいい雰囲気になっています。蔚山も予選からいいサッカーをして勝ち進んでいるのは知っていますが、目標としている優勝のためにはすべてのチームを倒さなければならないので、自分たちがやってきたことを楽しんで、明日も勝利に向かってチーム一丸となってやっていきたいと思います」