2ゴールを挙げてチームに勝利をもたらした上田綺世(写真◎J.LEAGUE)
■2020年12月12日 J1リーグ第32節(@カシマ:観衆7,907人)
鹿島 2-0 清水
得点:(鹿)上田綺世2
「そのためのゴール数だと思えば、まだ少ない」
試合開始早々に、カシマスタジアムに詰めかけた深紅のサポーターに歓喜の瞬間が訪れた。「鹿島はやはり常勝軍団ですから、優勝を後押しするために(サポーターが)来ていると思います。今年は優勝を逃してしまいましたけれど、一つでも上の順位を目指して、それを後押しするために来てくれていると思うので、僕たちもそれに応えたい」と鹿島サポーターの思いをくむ上田綺世が、試合の立ち上がりにゴールネットを2度揺らした。
まずは前半4分。ファン・アラーノのCKからエヴェラウドがシュートを放ち、そのこぼれ球が上田の前に転がってきた。「キーパーに(シュートを)当てないようにということを意識しました」と右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。「運が良かったなというゴールです」
さらに8分後の前半12分にも、上田がゴールに迫った。ファン・アラーノのスルーパスに抜け出し、向かってきた相手GKをかわして無人のゴールに右足で蹴り込んだ。「(相手の)ディフェンスラインの間に通してくれたファン(・アラーノ)のパスがすべてだったと思います。ピンポイントにパスを出してくれたので、気持ちよくゴールを決めることができました」と、得点シーンを振り返る。
上田は前節の第30節浦和戦に続き、2試合連続で2ゴールを記録。今シーズンの得点数を2ケタの「10」に伸ばした。ただ、本人は「チームが勝つためにプレーしていますし、そのためのゴール数だと思えば、まだ少ないんじゃないかな」と、満足する様子はない。
今シーズンは残り1試合。最終節C大阪戦は、「僕たちの目標はそこにある」と話す来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権の与えられる3位の座を懸けて争う可能性もある。
「(ACL出場権獲得は)他力によるものではありますけれど、次の試合に勝たないとそれを達成することもできない。またカシマスタジアムでサポーターの皆さんと戦いたいと思います」
上田の言う「フォワードとしての仕事」を最後まで全うし、今季のチームの目標を達成させるために。背番号36は最終節でもどん欲にゴールへと向かう。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE