FC東京がラウンド16進出を決めたACLのグループステージ第6節、パースグローリー戦で存在感を発揮したのが、品田愛斗だ。アンカーで先発すると、攻守両面で働き、決勝点もアシスト。今大会初出場と思えないプレーぶりを披露した。

上写真=パースグロ-リー戦に先発フル出場を果たし、勝利に貢献した品田愛斗(写真◎Getty Images

相手の気持ちを逆手に取ったパス

 まったく肝が据わっている。緊張感やプレッシャーは力に変える選手なのかもしれない。

「いつもどおり落ち着いてやらないと自分の良さは出ないので、そこだけを意識して。あとはピッチに立ったら自然と楽しんじゃうタイプなので、リラックスしてプレーできたのが一番だったと思います」

 先制ゴールをアシストした場面。確かに、落ち着いていた。自陣左サイドのスローイン。中村帆高が入れたボールは、田川亨介、再び中村帆、そして東慶悟へとつながれ、品田のもとへ届いた。その瞬間、左サイドに位置し、相手の背後に抜け出そうとしているアダイウトンを見逃さなかった。寸分たがわぬパスを走り出したアダイウントの前方に送る。相手の背後を突く、絶妙なパス。アダイウトンは走りながらボールを拾うとそのまま一気に加速し、先制ゴールをスコアした。

「やっぱり縦に速いサッカーが東京の特徴の1つだと思うんですけど、相手もその特徴をつかみ切れていない部分があったと思うし、相手の最後に1勝したいという気持ちを逆手にとった、良いゴールだったと思います」

 このゴールは結局、決勝点になる。まさしく値千金のパスだった。一方の守備でも品田はアンカーとして最終ラインとうまく連係しながら、相手の攻撃を封じ、堅守に貢献する。この試合は前節、前々節で同ポジションを務めた森重真人を出場停止で欠いていたが、品田は品田の持ち味を出してみせた。よく動き、よく戦い、そして決定的な仕事をやってのけた。

「(決勝トーナメント進出には)いろいろな条件があったんですけど、簡単な試合は1つもないので。初めてアジアの舞台も経験して、日本の選手とは違う部分もあるし、その中でも自分の通用するところとか、チームの良さを出せる場面も多かったので、個人としてもチームとしてもプラスになったと思います」

 今大会は初出場。ACLも初めて。しかしながら、その力を存分に発揮し、先発フル出場。勝利に大きく貢献した。こういう大会で上位に進出するチームには、よくラッキーボーイや勢いをもたらす若い選手が台頭するものだが、品田がそんな存在になるかもしれない。

「現地に来て応援したいと思いますが、それでもみなさんの思いはこちらに届いていますし、やっぱりその思いを感じて戦って、いいサッカーを見せたいと思います」

 アジアの舞台で成長を感じさせる21歳のMFは、ファン・サポーターの思いを胸にラウンド16へ、そしてその先に向かうと誓った。


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