上写真=気持ちのいい勝利に畠中槙之輔から笑顔がこぼれる。史上初のグループステージ突破を達成した(写真◎Getty Images)
「まだつかめるものがある」とボスが語る
やりたいことができた上での快勝。畠中槙之輔はその点で高い自己評価を下した。横浜F・マリノスの初めてのACLグループステージ突破がかかった試合で、4-1で韓国の全北を軽やかに打ち破った。
「引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるという中でしたが、しっかりと勝って突破したい気持ちが強かったので、この試合にかける思いは大きかったんです。試合の入りは少し良くなかったので、しっかり喝を入れようという感じで声を出しました」
PKで1点を失ったものの、ほぼ危なげない戦いぶり。「前半、相手は引いてくるサッカーだったので、自分たちがフリーで回せました。相手に合わせることなくテンポよく、相手のスキを突こうという動かし方の中で、ブンちゃん(ティーラトン)のミドルシュートがあって、チームのやりたいこともしっかりできたと思います」と納得の勝利だった。アンジェ・ポステコグルー監督も同じ考えで、「選手たちを誇りに思いますし、グループステージ突破はクラブ史上初めてのことなので、快挙を成し遂げたと言えます。でも、まだまだ試合はあるのでどんどん続けていければと思います」と労った。
ただ、17分にティーラトンのゴールで先制したあとに、何度も攻め込みながら追加点を決めるのに51分まで待たなければならなかった点については、ポステコグルー監督もしっかり指摘。「1-0から次のゴールが奪えないと難しくなります。相手も攻めに出てきますから」。その上で、「ただ、後半はスマートに落ち着いてできました。いいカウンターができて、追加点は3点とも素晴らしいゴールでした」としっかりリカバーできたことも評価している。
これでラウンド16進出が決定した。快挙といえども、チャンピオンの座にたどり着く目標には階段を一つ登ったに過ぎない。
「(グループステージで)まだ1試合あるという意味で、もう1回全力を注いで勝ちにいって、さらに気持ちよく決勝トーナメントを戦いたいと思います。次は誰が出るか分からないけれど、全員でいい準備をして臨みたいと思います」
畠中は喜びすぎず、グループステージ最終戦となるシドニーFC戦に向けて集中力を途切れさせない意識を訴える。引き分け以上で1位突破が確定、負けても上海上港の結果次第で首位通過の可能性を残すが、もちろん勝ちにいくつもりだ。
「今年はJリーグで2連覇を狙いましたが、難しいシーズンになって実現できず、カップ戦でも敗退しました。残されたのはこの大会です。このクラブにとって成長できる部分がたくさんあって、一つ一つクリアしていくことが大事です。グループステージ突破は一つの快挙ですが、まだ何かを成し遂げたわけではありません。試合は続くので、どんどん進化して前に進んでいくことが大事なのです。今年は難しいシーズンになってしまいましたが、まだつかめるものがありますから、しっかり続けていきたいと思っています」
ポステコグルー監督が日々の成長と進化を訴え続ける姿勢は変わらない。横浜FMとの契約を延長したことが発表された偉大なボスが率いる偉大なチームが、さらに進化した姿を大会最終日まで見せるつもりだ。
■グループH順位表(5節終了時点)
1 横浜FM(勝ち点12/4勝1敗/得失点8)※16強進出決定
2 上海上港(勝ち点9/3勝2敗/得失点-2)※16強進出決定
3 全北(勝ち点4/1勝1分け3敗/得失点-4)
4 シドニーFC(勝ち点4/1勝1分け3敗/得失点-2)