上写真=素晴らしいダッシュからの追加点がこれ。仲川輝人の切れ味は抜群だった(写真◎Y.F.M)
■2020年12月1日 ACL第5節
(リモートマッチ/@カタール・アルジャノブ スタジアム)
横浜FM 4-1 全北
得点:(横)ティーラトン、マルコス・ジュニオール、仲川輝人、オウンゴール
(全)グスタボ
「自分たちが目指しているのは優勝しかない」
「痛かったですよ、相手のスパイクがすねに入って」
2-1で迎えた71分に仲川輝人がチームの3点目を決めて、勝利に大きく近づいたのだが、そのゴールが痛かった。
左サイドのスローインをゴールを背にして受けたエリキが、意表を突いて胸トラップからオーバーヘッドで中央へ送り込んだ。少しだけ出足が遅れたものの、自慢の瞬発力を効かせた仲川がゴール前に入っていった。DF2人の間に割って入っていく姿は迫力満点。そして、跳び上がりながら右足を思い切り伸ばしてゴールに送り込んだのだ。このとき、相手の足がすねに入って悶絶した。
倒れ込んだところにエリキとマルコス・ジュニオールが喜びにやってきて、2人に抱えられて胴上げのようなパフォーマンスになったのだが、仲川は足の痛みで笑うに笑えなかった。
キックオフからキレキレだった。右サイド攻略のキーマンとして、ドリブルもパスも冴え渡った。守備にも惜しみなくパワーを注いでハイプレスを仕掛けていった。
ゴールの前にはアシストも記録している。51分に決まったチーム2点目で、相手パスをカットした喜田拓也からボールを預かって、そのままゴールへ突き進み、右に流れたマルコス・ジュニオールへ確実に送ると、マルコス・ジュニオールが左足で流し込んだ。引き分け以上でグループステージ突破が決まる一戦で1ゴール1アシストと輝いた。
でも、反省が先に来る。
「もっと前半の早い時間帯から先制できれば苦しまないというか、さらに自分たちで先制点を取ったにも関わらず、そのあと自分たちでリズム崩していることが多かった。それは僕たちフォワード陣が決めきれなかったのもあるし、2点目、3点目と点差をつけて落ち着かせることができればよかったので、そこは課題です」
確かに、相手の守備の甘さを突いて数え切れないほどのチャンスを作っていったから、もっと早く勝負を決めてしまうこともできただろう。途中でパスミスが続いて相手にリズムをプレゼントしてしまった時間もある。
「でも、チーム全員で戦えて、とりあえず予選突破できたので良かったですし、それにつながるゴールやアシストもできたので、まあ満足はしてる感じですけどね」
「とりあえず」というところに本音がのぞく。グループステージ突破はクラブで初めてのことになったが、物足りないのだ。
「マリノスの歴史を変えられましたけど、でもまだ終わりじゃないし、予選突破しただけですからね。自分たちが目指しているのは優勝しかないので、そのための第1ステップをクリアしたかな、と思います。突破したからといって、次のシドニー戦で気持ちを緩めてはいけないと思いますし、勝ちグセをつけていかないと」
また中2日でグループステージ最終戦があるが、勝てば気持ちよく次に進める。仲川の言う「勝ちグセ」をつければ、さらに高みに登っていける。
「ノックアウトステージは一発勝負なので、そのレギュレーションをうまく考えながらプレーしていければ。うちは強いと思いますよ」
今季は負傷の影響もあって、Jリーグでは出遅れたが、サッカーの神様が仲川をこの大会に合わせてくれたかのように絶好調だ。