上写真=ルーキーながらボランチで存在感を示す山本悠樹。大敗から学んだものは大きい(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月25日 J1リーグ第29節(@等々力:観衆11,360人)
川崎F 5-0 G大阪
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン、家長昭博3、齋藤学
「全員がこの悔しさを忘れることはない」
9月5日の第14節ベガルタ仙台戦以降、ほとんどの試合で先発出場。ガンバ大阪の技巧派ボランチ山本悠樹はルーキーイヤーに大きな足跡を残している。しかし、J1先発17試合目の敗戦は衝撃的だった。
11月25日のJ1第29節。引き分け以上で優勝という川崎フロンターレを相手に、22分、45分、49分、73分、90分に失点を食らうまさかの0-5。目の前で優勝の歓喜を見せつけられることになった。
「サッカー選手としてシンプルに悔しいですし、自分たちがここで止めないといけないと分かっていたのですが、これだけ実力の差をひしひしと感じるゲームはなかったです。とにかく悔しいという感じです」
どうしてこれだけの違いが生まれたのか。川崎Fは中3日の試合でホームでなんとしても優勝を決めたい。G大阪は中2日でのアウェー連戦。それだけではないと、山本は自分たちを厳しく見つめる。
「まず相手の攻撃のところで、シンプルにサイドや僕たちのボランチの脇で数的優位を作られるシーンが多くて、そこで必要以上に気を使ってしまってなかなか前に圧力を持ってプレスをかけることができませんでした。ずるずるいって先制点につながってしまって、そこからもそのずるずるいってしまうのをうまくピッチ内で変えることができず、複数失点を重ねてしまったという感じです」
こちらの反発力を抑え込まれたという悔しさがにじみ出る。
「(川崎Fは)全員が良い判断をしてシンプルにボールを動かしながら前に進んでこられました。全員が素晴らしい立ち位置を取っていますし、嫌なところでポジションを取られてそこをシンプルに使われて、全部後手になって動かされるシーンが前後半続けてずっとありました。いままで対戦した中ではシンプルなんだけど一番嫌な攻撃でした」
初めて対戦してみて、川崎Fがグループとして積み重ねてきたものを肌で感じ、「シンプル」という言葉に集約した。それはG大阪が目指していることでもある。
「ボランチというポジション柄、(相手が)後ろ向きになるようにプレスをかけることもそうですし、自分たちの攻撃の始まりにもなるようにしなければなりません。今日のフロンターレのようにプレスに来るチームは増えてくると思うので、それに対して臆することなく自分が中心となってボールを握れる時間を作れればと思っています。自分がボールを触ることで落ち着きを与えられるようなプレーでそういう存在になっていかないといけないです」
このままJ1で2位に入れば天皇杯に出場できるから、リベンジのチャンスを手にする可能性もあるし、来年以降もいつか倒さなければいけない相手だ。
「このゲームはたぶん少しは引きずると思いますが、天皇杯やACLの枠を争う戦いは続きます。目の前の試合を一つ一つ戦うしかないですし、その積み重ねが結果として現れると思います。全員がこの悔しさを忘れることはないですし、踏ん張って戦っていきたい」
山本の存在がこのチームの礎になる、そんなきっかけの試合になるかもしれない。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE