上写真=センターバックでフル出場した鹿島アントラーズの奈良竜樹(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月14日 J1リーグ第27節(@カシマ:観衆13,463人)
鹿島 1-1 川崎F
得点:(鹿)エヴェラウド
(川)脇坂泰斗
古巣との対戦。「すごくワクワクした」
首位の川崎Fとの大一番を前に、鹿島を緊急事態が襲った。試合当日の朝に永戸勝也が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となり、町田浩樹や関川郁万ら濃厚接触者6人も欠場を余儀なくされた。
「(試合のメンバーに)もともと名を連ねていなかった選手が突然入ることになった」とエヴェラウド。そのうちの一人がセンターバックの奈良竜樹だろう。第11節の横浜FC戦以来、リーグ戦では今季2度目の先発出場。相手は昨季まで在籍した古巣だった。
「一緒にやっている選手とかもたくさんいて、なんか変な感じでしたけれど、すごくワクワクした感覚はありました」と、およそ3カ月ぶりのフル出場を振り返る。川崎FのFWレアンドロ・ダミアンを激しいマークで自由にさせず、ピンチの場面では体を投げ出して相手のシュートを防いだ。
「チームにも目標があるし、ホームということでこの1試合に勝つことを目指していた。相手がどうであれ、僕もその一員としてこの試合に勝つことにしっかり貢献したいと思った」。勝利への思いは人一倍に強かった。「勝てなかったのはすごく残念だけれど、良い試合はできたのかな」。
試合は川崎Fに1点を先行されたものの、後半に同点とし、終盤には逆転を目指して攻め込んだ。奈良が言うように、強敵を相手に幾度も勝機を見いだした。チームのパフォーマンスにザーゴ監督は「出場した代わりの選手たちがこのチーム、このグループのすごさをピッチで示した」と胸を張る。そして、奈良も次のように言葉を放つ。
「いつも出ている選手とか、試合に絡んでいる選手が今回は出られないということで、いつもは出ていない選手が試合のメンバーに入った。それでもチームはチーム。誰が出るから鹿島というわけではなく、誰が出ても鹿島だと思う。出た選手がチームのために戦うというのは、当たり前のこと。いろいろとアクシデントはありましたが、まとまって戦うことができたと思います」
緊急事態下で示した鹿島のチーム力。それを体現していたのはまぎれもなく、闘志あふれるプレーを何度も見せた奈良竜樹だった。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE