上写真=ゴール裏のサポーターに向かってガッツポーズをする安永(写真◎GettyImages)
■2020年11月8日 J1リーグ第28節(@ニッパツ:観衆6,965人)
横浜FC 2-1 神戸
得点:(横)一美和成、安永玲央
(神)郷家友太
「超えられたのは良かった」
9試合ぶりにベンチスタートとなった安永だが、1-1で迎えた73分からピッチに入ると、試合終了間際に大きな仕事をやってのけた。
アディショナルタイムに突入した90+1分、瀬沼からのパスを中央で受けると、ペナルティーエリア外から右足を一閃。「最初はクロスを上げようかなと思ったけど、ニアが空いていたのでシュートを選択しました」。ボールの芯を捉えた強烈なシュートがゴールネットに突き刺さり、チームを4試合ぶりの勝利に導く決勝点となった。
これがプロ入り後初ゴール。決まった瞬間は「鳥肌が立った」。得点後はコーナーフラッグ付近へ走り、スライディングをして喜びを爆発させた。「ゴールパフォーマンスは決めていなかったんですけど…とりあえず滑り込みました(笑)。感情のままに、という感じです」と、はにかむ表情にはあどけなさが残る。
横浜FCユースから昨季トップチームに昇格し、シーズン途中にJ3のカターレ富山へ期限付き移籍。復帰した今季も開幕からベンチ外が続いたが、9月9日の第15節・FC東京戦でJ1デビューを飾るとボランチのレギュラーに定着し、出場12試合目で待望の初ゴールが生まれた。
父は横浜F・マリノスなどで活躍し、現在はサッカー解説者を務める安永聡太郎氏。元Jリーガーである父との比較は避けられず、「安永玲央として認知してもらえるように、とずっと思いながらやってきた」という。なお、聡太郎氏は横浜マリノス時代の95年にプロ初ゴールを挙げたが、デビューから22試合目だった。父の記録を上回る12試合目でのゴールに安永は「超えられたのは良かった」と誇らしげに語った。
ちなみに、聡太郎氏が初ゴールを奪った試合(柏レイソル戦)には現在、横浜FCを率いる下平隆宏監督も出場していた。親子二代の初ゴールを目撃した指揮官は「聡太郎のゴールは知らなかったので(記者から)聞いてびっくりしている」と笑いながら、「玲央はキックにパンチがあるので、シュートを打てればチャンスはあるのかなと思っていた。素晴らしい時間帯にチームを救う一撃を決めてくれた」と称えた。
取材◎多賀祐輔