上写真=いつも熱い大槻毅監督。これまで同様、残り7試合に全力を尽くす(写真◎Getty Images)
囲碁と同じで全部の石は取れない
早いもので浦和レッズの2020年シーズンも残り7試合。最後まで予断は許さないが、コロナ禍にあって独特なサイクルで試合を行ってきて、オンライン会見に登場した11月7日は「中10日」の真っ最中。14日の横浜F・マリノス戦へ準備に余念がない。
現状ではアジア・チャンピオンズリーグ出場権が与えられる3位以上が目標。勝ち点42で暫定8位の浦和は同3位の名古屋グランパスまで勝ち点差は7だが、同勝ち点のセレッソ大阪が1試合消化が少なく、取りこぼしは許されない状況だ。
横浜FM、ヴィッセル神戸、ガンバ大阪、鹿島アントラーズ、湘南ベルマーレ、川崎フロンターレ、北海道コンサドーレ札幌というのが残りの対戦相手。消化試合数がそれぞれ異なるものの、7位横浜FM、2位G大阪、5位鹿島、1位川崎Fという自分たちより上位のチームとの直接対決でしっかり勝っておくことが目標達成に欠かせないだろう。
ラストスパートの目前の中10日という時間を生かして、戦い方の整理にあてることができるが、大槻毅監督は改めて「速く攻めた方がいいと思っているのが大前提」と自己分析する。
「どこから攻めるのか、自陣からなのか相手陣内からなのかで奪いどころは違ってきます。もちろん相手がいる中で、ポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)をどこに持ってくるか、そのための守備設計があります」
理想はもちろん、相手陣内で奪って素早く攻めること。であれば、自分たちが相手陣内にポジションを取ることが必要になる。
「例えば、ですけど、相手陣地で奪いたいと思っていたら、相手がボールを持っていてくれなければ困ります。そして早く取り返したければ、相手の近くにいた方がいいわけです。でも、相手もいるので、こちらのやりたいことだけではなくて相手のやりたいことでも変わってきます。そのときに元に帰るところがあって、空いてくるところを理解して進めていくことまでが大事なんです」
理想と現実の綱引きを判断して、少しでも優位な方法を表現できるか。個人戦術の積み上げによって生み出されるチーム戦術が求められてくる。
それを例えたのが、囲碁。
「全部が全部、求めていっても、囲碁と同じで全部の石は取れないわけです。では、どこを取れるか」
まさに「取るところ」を見定めていく目が必要になってくるというわけだ。
「やっていることの形はアジャストしているところはあるかもしれませんが、仕事の仕方としてはしっかりと向かい合って、質を求めるためにハードワークしていく作業をしたいと思っています」
12月19日の最終戦まで1カ月と少し。「大きな決断に迫られ、裏付けのあることを求められる」と披露した監督論を携えて、選手には「目」を、自身にはハードワークを求めて駆け抜けていく。