上写真=決勝ゴールを決めた中村憲剛。40歳の誕生日を自ら祝った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月31日 J1リーグ第25節(@等々力:観衆11,061人)
川崎F 2-1 FC東京
得点者:(川)家長昭博、中村憲剛
(東)ディエゴ・オリヴェイラ
長谷川監督「来季に向けてしっかり戦いたい」
10月最後の日に行なわれた多摩川クラシコは、川崎フロンターレにとってはルヴァンカップ準決勝で敗れたFC東京へのリベンジマッチ。更新したばかりの連勝記録を12に伸ばしたいゲームでもあった。FC東京にとってはここまで3連敗中で、4連敗は避けたい試合。しかも、引き分け以下でリーグ優勝の可能性が完全に消滅することになる。1週間後にはルヴァンカップ決勝も控えていて、勝って弾みにしたい狙いもある。
そんな両者の思惑がぶつかり合う一戦は、FC東京の一撃から始まった。開始わずか30数秒、レアンドロがドリブルで持ち込んで右を並走してきた三田啓貴に預けると、左足シュート。GKチョン・ソンリョンを襲ってCKを獲得した。
前半はこれ以外のほとんどの時間で川崎フロンターレが攻めっぱなしだったと言っても、大げさではないだろう。
先制したのは24分、守田英正の中央からのループパスでレアンドロ・ダミアンがゴール前に走り込んだところで倒されてPKを獲得。家長昭博が右スミに確実に流し込んだ。川崎FにとってJ1で通算550ゴールとなった。
前半の得点はこのPKのみだったが、特に前半の30分過ぎからは攻めに攻めた。守田が、三笘薫が、中村憲剛が、レアンドロ・ダミアンが、次々とゴールに襲いかかった。
それでも点差は1点。FC東京は逆襲を図るべく後半開始から中村拓海を投入して3-4-3の並びにシフトチェンジ。前線に人数をかけて1点を奪いに出る。
それがいきなり実った。57分、左サイドに回っていた中村帆高の横パスを受けた安部柊斗がスルーパス、受けたディエゴ・オリヴェイラが縦に抜いてから左足で豪快なシュートを放ってGKとニアポストの間を抜いた。
しばらくはFC東京も攻め続けたが、徐々にまた川崎Fのリズムに。こうなると、役者の出番だ。この日が40歳の誕生日の中村憲剛。74分、左サイドを三笘がドリブルで抜けたところに近寄っていってマイナスのパスを受けると、左足で思い切り蹴り込んだ。
結局、これが決勝点となって川崎Fが連勝記録を12に伸ばし、FC東京は逆にリーグ優勝の可能性が消えた。
FC東京の長谷川健太監督は「前半はよく1失点で抑えました。後半は意地を見せることができたと思います」としながらも、優勝を逃したことついては「非常にタイトなスケジュールの中で選手は頑張ってくれました。来季に向けてしっかりと戦いたいと思います。まだルヴァンカップとACL(アジア・チャンピオンズリーグ)が残っているので、全力を尽くしたい」と気持ちを切り替えた。
川崎Fの鬼木達監督も同じくメンタル面に言及。「この試合にかける選手の思いが伝わってきました」とリベンジへのパワーを感じたが、追加点が取れず苦しんだ試合内容については「質のところにこだわってきて、そういうプレーは数多く見られました。あとはフィニッシュのところで、相手は最後に体を張ってきましたから、そこを上回るところで、もう一つ崩す、跳ね返されても詰めにいくところがもっと出ればと思います。しかし、練習の成果と意識の高さがこういうゲームになったと思います」と振り返った。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE