上写真=守備のリーダーとして、森重真人が3試合で8失点の組織を立て直す(写真◎FC東京)
「弾みをつけるためにも」
J1第25節の川崎フロンターレ戦が迫ってきている。「多摩川クラシコ」と銘打ったライバルとの一戦に向けて、FC東京の集中力が研ぎ澄まされている。
「僕らも明日の試合に勝たなければいけない理由がたくさんあります」
森重真人はそう言って表情を引き締める。
まずはリーグ優勝の行方。FC東京はアジア・チャンピオンズリーグに出場するためにほかのクラブよりも試合消化のスピードが速く、この試合を含めて残りはもう6試合しかない。首位の川崎Fとの勝ち点差が18あるので、勝たなければその時点で優勝が消滅することになる。
ルヴァンカップ決勝を見据えた戦いであることもそうだ。
「(川崎F戦の)次のルヴァンカップに向けて、弾みをつけるためにも勝ちたいです」
この試合を終えると、11月7日にはJリーグYBCルヴァンカップ決勝で柏レイソルと頂点をかけて争うことになる。その柏とは前節で対戦しているのだが、この「前哨戦」に1-3で敗れた。ミス絡みの失点が続いた敗戦だけに、川崎Fに勝って悪いイメージを払拭した上で決勝に挑みたい気持ちがある。
連敗阻止も大きなテーマ。リーグ戦の消化試合数がほかのクラブよりも多いということは、連戦の密度も高かったわけで、その歪みが出ているのか、今季初の連敗が3まで伸びてしまった。10月18日の第23節横浜FC戦で0-1、24日の第28節横浜F・マリノス戦で0-4、28日の第30節柏戦で1-3で、1得点8失点。堅守を誇ってきたチームにしては、失点の多さが気になる。
「ここのところ勝てていなくて3連敗なので、リーグの連敗をストップしたいです」
ただ、原因ははっきりしているという認識がチーム内で共有されているということだから、そこを川崎F戦で試されることになるだろう。
そして大きいのは、リベンジの思いだ。
「リーグではホームでフロンターレに叩かれているので、そのリベンジの思いもあります」
7月8日の第3節では、0-4という大敗を食らっている。しかも、前半だけで4ゴールを叩き込まれる悔しさで、センターバックとしては忘れられない試合になった。
一方で、川崎F側からすれば10月7日のルヴァンカップ準決勝でFC東京に0-2で敗退させられたわけで、リーグ戦の名古屋グランパス戦に次いで今季2度目の黒星を喫した借りを返そうと、相当に意気込んでいる。
「メンタル的に気持ちの強い方が勝つと思います。お互い強い思いのぶつけ合いになるでしょう」
川崎Fは「中12日」という変則日程で休養は十分。一方で、FC東京は中2日。「そこは仕方がないですし、2日ともいい準備ができました」と前向きに割り切ることができるのも、百戦錬磨のベテランならでは。
いずれにしろ、白熱は必至だ。