上写真=「ピッチの中でチームメートと喜び合うことができてうれしかった」とジェジエウ(写真◎Getty Images)
「ジャンプ力という特徴を生かせた」
「Muito Bom !」
すっきりとした笑顔だ。川崎フロンターレはようやく連戦を乗り越えて、次の試合まで中12日という長期のブランクができた。選手たちはさっそくオフを満喫して、連戦の疲れを落とすことができた。冒頭の「Muito Bom(ムイト・ボン)」はポルトガル語で「とても良い」という意味。笑顔でコンディションの良さを口にした。
この休みに入る前のJ1第23節名古屋グランパス戦では2ゴールで3-0の勝利の主役となった。しかも、昨季チームに加わってから初めてのゴールだったから、喜びもひとしおだ。
「おかげさまで連休前のゲームでやっとフロンターレでの第1号を決めることできて、しかも2点を取れたのはうれしいことでした。ピッチの中でチームメートと喜び合うことができてうれしかったです。あのゴールでよりいい休暇になって、家族といい時間を過ごすことができました」
記念の初ゴールは57分、中村憲剛のFKをヘッドで叩くと、相手に当たってコースが変わってゴールに転がり込んだ。65分の自身2点目も、左ショートコーナから中村が送ったセンタリングをヘッドで力強く叩き込んだもの。中村は試合後に、ジェジエウが得意な滞空時間の長いボールにしたことを明かしている。
「本当に彼が言った通り、自分の特徴を生かしてくれました。憲剛がいつも以上に高く時間のあるボールを上げてくれたことで、ジャンプ力という特徴を生かせたし、強くボールを叩くことができました。鋭く速いボールよりも特徴が生かせると思っているんです」
これはチームの2点目と3点目だったが、実は44分の先制ゴールにも絡んでいる。左で組み立てていたボールが谷口彰悟を経由して右寄りにいたジェジエウへ。そのまま前に持ち出してクロスを上げたが、相手にブロックされてCKになった。これを田中碧が蹴り、ニアで谷口がフリックして中央で三笘薫が押し込んだのだ。いわば「アシストのアシストのアシスト」になる攻め上がりだった。
「自分で自分に要求している部分として、攻撃面を改善したいと思っているんです。そう考えていたところであそこで受けたときに、前にスペースが見えていました。そこでボールを運んであのシーンになりました。これからも成長する上で攻撃面が重要になると思うので、スペースがあればあのように持ち運ぶプレーをこれからも意識したいと思います」
「あのときは自分のアイディアで、受けたときに前を向いてスペースがあったのでボールを運ぼうと、その瞬間に思いついたプレーです」
ゴールに向かっていって、DFを避けるように右に持ち出してクロスを上げたが、実は最初の狙いはそうではなかった。
「あのシーンでもう少しスペースあれば、本当はシュートを打とうと思っていたんです」
そう残念がって笑ったが、この試合ではセンターバックとして名古屋の強力攻撃陣を完封した上で、3つのゴールに絡む大活躍だった。
リーグも残り10試合。川崎Fにとっては、独走体制を維持しながら優勝を確実に手にする、今季の総仕上げになる。
「いままで通りに変えずに自分たちにフォーカスしていきます。満足することはないし、目指すものは何かをお互いに感じながら、ピッチの中で精一杯できることを出せるようにやっていくことが重要だと思います」
いつもどおりを強調した攻守の大黒柱。まさにムイト・ボンな主人公なのである。