FC東京戦で決勝ゴールを挙げ、横浜FCに勝ち点3をもたらした草野侑己が北海道コンサドーレ札幌戦を前にオンライン取材に応じた。前節のゴールの背景を語るとともに『憧れの』札幌ドームでのゴールを誓った。

上写真=10月18日のFC東京戦で決勝ゴールを決めた横浜FCの草野(写真◎Getty Images)

僕らしくない自信になるゴール

「自分でもあとで見返して見たら、こんな冷静なプレーができるんだと思いました」

 FC東京戦で値千金の決勝ゴールをスコアした草野は、そう振り返った。試合直後からたくさんの祝福メッセージが届き、「J1でゴールするってすごいことなんだな」と実感したという。ただ、ようやくゴールを決めたFWの足はしっかり地についている。浮つくことがないので、今季ここまで苦しい道のりをその足で歩んできたからだ。

「今年は開幕からスタメンで、10ゴールを取ると目標を掲げてシーズンをスタートしました。でも、うまくいかず、ちょっと出たり出なかったり、ケガもありました。ただ、去年も試合に出ていないときは、自分が出たときに活躍できるようにしないといけないと思って過ごしていた。出ていないときはメンタル面で成長できるし、出ているときは出ているときでプレー面で成長できると思う。置かれた状況で成長するポイントが何かを意識してずっとやってきました」

 腐らず、黙々と自分を磨いてきた男にとって、前節の活躍は突然の出来事ではない。

「絶対にチャンスが来ると思っていたので、そのときにゴールという結果で応えられるように日ごろからイメージはしていました。それがFC東京戦にもつながったのかなと」

 日々の研鑽は、嘘をつかなかった。ゴール前の冷静なプレーも、あらゆる場面を想定して練習に取り組んできた成果だ。

 試合終了まで3分を切っていた時間帯。自陣深い位置にいた瀬古樹から逆サイトを走る瀬沼優司に対角のパスが出た。コースはズレてしまったが、相手CB渡辺剛が胸トラップで収めようとした瞬間に、瀬沼が詰めてボールをかっさらう。カバーに来たアルトゥール・シルバもかわして、全速力で駆け上がってきた草野へパスをつないだ。そして草野は勢いよくボール狩りに来た相手CB森重真人のスライディングを切り返してかわすと、GKの逆を取ってネットを揺らした。

「あのゴールは、僕を知っている人からしたら僕らしくないと思います。新しい得点パターンではないですけど、J1の舞台でこれまでにない形で得点できたことは自信になります」

 どちらかと言えば泥臭いゴールを決める印象もあるが、FC東京戦は華麗なボールさばきと冷静さが光った。

「J1のCBはみんなうまいし、すごい選手が多い。簡単にシュートまでいけないし、フリーになれない。なので、練習でもちょっと(相手を)外してシュートとか、自分で空間をつくってシュートとか、そういうことを意識してやってきました」

「GKを倒してからとか逆を取るとか、練習でやってきたことが無意識に出せたのがよかったと思います」

 FC東京戦は8月8日以来の出場で、今季5試合目だった。ようやく努力が実った形だが、本人はまったく満足してない。

「FWである以上、得点を取ることにこだわって、僕のゴールもそうですけど、勝ち点を積み上げていってトップ10に入れるようにチーム一丸となって頑張りたい。残り10試合なので、全試合で得点するくらいの気持ちで、スタメンもつかみたい。昨季の4ゴール以上は、達成したい」

 次節の札幌戦は北海道出身の草野にとって、小さい頃からプレーしたいと思ってきた憧れのスタジアムだ。今季のルヴァンカップのグループステージで途中出場し、その願いはかなったが、まだ達成していていない夢もある。

 それは札幌ドームでゴールを決めること。

「次も、出たいです。親も来ると思いますけど、親の前でまだ点を取ったことがない。僕が出たら、点を取りたいですね、監督もそれを求めていると思うので」

 攻撃陣にケガ人が出ている現状、そして前節に決定的な仕事をやり遂げたことを考えても、次節は出番がありそうだ。草野は憧れの札幌ドームで、今季2点目を狙う。


This article is a sponsored article by
''.