上写真=古巣の湘南相手にゴールを決めた柏の神谷(写真◎Getty Images)
■2020年10月18日明治安田生命J1リーグ第23節(観衆5,006人/@BMWス)
湘南 3-2 柏
得点:(湘)岡本拓也、松田天馬、石原直樹
(柏)オルンガ、神谷優太
成長した姿を見せようと
「湘南戦だと、やる気はすごく出ます。前日からやる気が出過ぎて寝られないこともありますよ。そのくらい気持ちは入っています」
プロ入りから2年間、湘南ではなかなか定位置をつかめなかった。期限付き移籍した愛媛で主力として2シーズンを戦い抜き、柏に引き抜かれる形でJ1の舞台へと戻ってきた。
言葉通りの思いが、プレーににじみ出ていた。後半開始から出場すると、右サイドで攻守にわたってエネルギッシュに走った。そして出場から10分も経たない54分、最高の見せ場がやってくる。湘南DFからオルンガが奪い取ったボールが、江坂任経由で右サイドへ。ボックス手前で受けた神谷は、相手守備陣の位置をよく見て、左足で冷静にファーサイドへと流し込んだ。両耳の横に手を広げ、ファンの心の中の歓喜を聞いた。
神谷のゴールで試合をひっくり返したものの、ネルシーニョ監督が「3点目を取るために急ぎ過ぎた」と振り返ったように、柏は自分たちの勢いを制御しきれずバランスを崩してしまう。そこに相手の選手交代で潮目を変えられ、3-2で勝利した前回対戦と正反対のスコアを突きつけられることになった。
神谷は負傷から戻って4試合目にしてゴールを奪ったが、「まだまだコンディションは上がっていないし、もっと上げていかないといけない」とさらに調子を上げていくつもりだ。
「あのグラウンドで試合をするのはすごく久しぶりだったので、本当は最初から出たかったけど、自分が成長した姿を見せようと今日は頑張りました」
試合前の選手紹介では、同じく元湘南の小林祐介とともに湘南サポーターの拍手を受けた。双方のサポーターにとって、見ごたえのあるプレーだったはずだ。
試合後には湘南のファンへも挨拶しながら、スタジアムを1周。自身に送られた拍手を、次への力へと変えていくことだろう。
取材◎杉山 孝