上写真=奥埜博亮は2ゴール1アシストと大車輪の活躍で横浜FMを下した(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月17日 J1リーグ第23節(@ヤンマー:観衆6,870人)
C大阪 4-1 横浜FM
得点:(C)奥埜博亮2、豊川雄太2
(横)水沼宏太
「予感がありました」
味方でさえも騙されるのだ。それが対戦相手なら、なおさらだろう。坂元達裕の必殺の切り返しの話である。
セレッソ大阪のロティーナ監督が「カギになった」と話した2つのゴールのうちの最初が、10分の先制弾だ。右サイドで受けた坂元が縦に突破しようとボールを動かした次の瞬間、右足でクロスを上げるフェイクを入れて切り返し、左足でクロス。これを奥埜博亮がヘッドでゴール左に流し込んだのだ。
「今日はチームとしてうまく狙いを持ってできましたし、その中で早い時間で点が取れてよかったと思います。タツ(坂元)はいつもいいボールを上げてくれるので、あの場面でも左足で持ったときに来るなという予感がありました。相手の間にポジションを取っていたので、いいゴールになりました」
奥埜はしてやったりだ。
「なるべくずっと相手と相手の間にポジション取りをしていました。(坂元のドリブルは)相手も縦を警戒していたので、左に持ち替えたときに上げられるスペースがあったのでいいボールをくれました。僕は入れるだけでした」
この坂元のアシストは切り返しが一度だったが、場合によってはもう一度切り返してから縦に出て右足でクロスを入れてくることもある。
「僕らも結構、タツの切り返しにはだまされるんですよ」と笑うが、もちろんそれがビッグチャンスになると分かっているから。
「タイミングが合えばチャンスになりますし、上げてきそうなときには入っていくようにしています。タツは縦にも行けるので、1対1の状況を作ればかわしたりいいボールが入ってきたりするので、僕たちがポジションに入るタイミングを大事にしていけば、もっと点が入ると思います」
ついその鮮やかな切り返しにばかり目がいってしまうが、中で待っている選手たちがタイミングを図って飛び込む工夫も見ておくべきポイントだ。
奥埜は67分にもチームの2点目を決めている。片山瑛一がゴール前に送り込んだボールをゴール前で清武弘嗣がヘッドでつなぎ、豊川雄太が突っ込んだものの触れなかったボールを右サイドで拾った。左足に持ち替えたら、GKもDFもクロスを予測して動いた。その瞬間、ポスト際がぽっかり空いた。冷静に左足で射抜いて2-0、チームを大きく前進させた。さらには80分にも、豊川雄太の走る先にミドルパスをていねいに落として、4点目をアシストした。
「でも、ボールを収めるところでミスもありましたし、もっとアシストやゴールができるようなチャンスもありました。もっともっと突き詰めていければ点が取れるので、練習からしっかりやっていきたいと思います」
華やかな活躍をしたからこその地道な反省。さすが、味方を生かして自分も生きる職人FWならではの生真面目さだ。それがこのチームを支えているのだと、誰もが知っている。
写真◎J.LEAGUE