上写真=2度目の10連勝中、5試合フル出場。山村の貢献度は高まっている(写真◎J.LEAGUE)
「あきらめない姿勢がゼロにつながっている」
2試合連続フル出場は今季初めてだ。山村和也はJ1第21節のベガルタ仙台戦と第22節のサンフレッチェ広島戦で最初から最後までピッチに立ち続け、ともに完封勝利をもぎ取った。センターバックとしてクリーンシートは最高の栄誉だろう。
川崎フロンターレはその広島戦で今季2度目の10連勝という偉業を達成した。山村はこのうち5試合でフル出場していて、第16節の広島戦ではゴールも決めている。前回の10連勝のときには2試合、合計22分しかピッチに立っていなかったから、その貢献度は計り知れないぐらいに大きくなった。
「悔しかったんですけど、やることは変わりませんから、試合に出るために何をするかを考えてトレーニングしてきました」
試合に出られなかったときには、そんな思いで過ごしてきたという。
「出たい気持ちが強かったけれど、試合に出られないことで筋トレとか普段やらなかったことを多めにやるようになりましたね。上半身も下半身も機械を使って」
その意欲的なパワーアップが、今回の5試合フル出場によって「試合に出ている充実感はありますし、結果につながっているので、少しずつですけど貢献できているのかな」という実感の中に生きているだろう。
仙台戦では谷口彰悟と、広島戦ではジェジエウとコンビを組んで中央に壁を築いた。「やりにくさは感じないですし、どちらも心強くて頼もしい選手だと思っています」と謙虚に話すが、3人の中では最年長。後輩を立てる優しさがにじみ出るような口ぶりだった。
この2試合ではともに完封したとはいえ、課題と対処法を見つけている。
「結果的に失点ゼロで終わってはいますが、決定機は作られています。(GKのチョン・)ソンリョンを含めてあきらめない姿勢がゼロにつながっているのかなと思っています」
「ボールホルダーにしっかり寄せていくのをチーム全体として90分やっていくのが目標で、ゴール前に進入されても体に当てるなどを最後まで意識しています」
もう一つ、「判断ミスでした」としたのが、23分のシーンだった。こちらの右サイドで攻めているときにパスミスでボールを失い広島のカウンターになった。浅野雄也に快足ドリブルでぐんぐんと持ち込まれ、守田英正も必死に食らいついていく。このとき、山村は中央に戻り、ゴール前に入り込んでくる相手をチェックする判断を下して浅野の対応はそのまま守田に任せた。
最終的に浅野に打たれたシュートをチョン・ソンリョンがストップしたこの場面、こう分析している。
「正直、最終的には判断ミスだと思ってるんですけど、最初に中を確認したときに、サイドバックのノボリ(登里享平)が間に合わないかなと思って、もう少し中で我慢してから(ボールを持っている浅野のところに)出ていこうと思っていたんです。でも、映像を見るとノボリも間に合っていましたし、もう一つ早い段階でシュートブロックにいっていたら良かったと思っています」
「守田のサポートにいけたら良かったと思いました。(浅野のスピードが速くて)守田もついてくることができるかどうかなというところと、真ん中のカバーのところで判断をミスしてしまいました。ソンリョンがしっかり止めてくれてよかったです」
一瞬の判断のミスは命取り。それを一人だけではなくチームで守ることができた。悪い面といい面の両方を象徴するシーンとして、今後の成長の糧にするだろう。
そして次は、名古屋グランパス戦だ。前回10連勝で止められた相手が、また10連勝のタイミングで立ちはだかるめぐり合わせ。
「全部の試合が大事だと思っているので、特別な意識はないですけど、前回名古屋に負けているし、同じシーズンで同じ相手に2連敗しないように勝ちたいと思います」
気持ちよく勝って、11連勝の新記録達成だ。