清水エスパルスを3-1で下したゲームで、先制ゴールにつながるシュートを放ったのが三田啓貴だった。記録上は、田川亨介の得点になったが、「俺のゴールでしょ(笑)」。この日、三田にはどうしてもゴールを決めたい理由があった。

上写真=先発を果たして69分までプレーした三田啓貴(写真◎J.LEAGUE)

亨介がブラインドになってゴールに

 試合後のオンライン会見で、三田は開口一番、言った。

「俺のゴールじゃないんですか? 俺のゴールでいいでしょ(笑)。まあ、半分半分で」

 22分、チームの先制点を記録したのは、田川亨介だった。ただ、それはGKの眼前でボールに触ったもの。シュート自体は三田が打っている。

 三田自身が蹴ったFKの流れから、相手DFがクリアしたボールが再びボックスの外で構える三田のもとに届く。ボールの落ち際を左足で叩いた。

「とりあえず枠に打とうと蹴りました。もっとしっかりしたシュートを打てれば。でも亨介がうまくブラインドになって決まって良かったです」

 記録上は田川のゴールだが、三田の優れたキック技術が生んだゴールと言える。そして、ゴール後には9人の選手がそろってゆりかごダンス。その理由を本人が明かした。

「(誰のお子さんに向けたパフォーマンス?)誰だと思います? 僕です(笑)。ゴールを決めたらやろうと思っていました。(妻には)今日の試合に勝って、ゴールを決めて、ゆりかごダンスをしてくると話していました。結果的に自分のゴールにはならなかったけど、しっかりできて良かったと思います。(男の子? 女の子?)女の子です。昨日生まれました」

 気合がこもったシュートには、そんな理由もあったのだった。

 FC東京は19連戦を戦っており、この日の清水戦が18戦目だった。週末の横浜FCを終えると次の試合まで1週間、間隔が空く。

「連戦の最後を勝ちたいし、そこからまた続く連戦に向けて、メンタル的にも良い形でしっかりと締めたい」

 有終の美を飾って、次なる連戦へ。そしてルヴァンカップ決勝へ。負けられない戦いはまだまだ続くが、三田は自身の役割を全うし、一つでも多くチームを勝利に導くと誓った。


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