明治安田生命J1リーグで独走体制の川崎フロンターレ。ただ、鬼木達監督も選手たちもさらなる進化を求めている。ジオゴ・マテウスは今季3戦目となる第21節のベガルタ仙台戦で存在感を示し、そのキーマンになるかもしれない。

上写真=仙台戦は今季3試合目の出場ながら、多くのチャンスを作った(写真◎J.LEAGUE)

ライバルというよりはリスペクト

「面白い形でゲームに入ってくれました。楽しみな選手が一人増えましたね」

 鬼木達監督も思わず目を細める。J1第21節のベガルタ仙台戦で起用したジオゴ・マテウスのことだ。

「当初から自分たちのサッカー、リズムにはかなり合う形で進んでいましたし、彼の持ち味などいろいろなところが見えました」

 鬼木監督がそう評価する通り、これでまだ3試合目の出場ながら、右サイドバックに入って違和感なくチームの一員となって攻撃に参加していった。

 本人はまずは「結果から言えばチームとしても個人としても良かった。勝利することが大前提だから、勝ち点3が取れてよかった」と安堵する。「チームのシステムややり方の中で個人的な特徴が出せたと思っています。右サイドでボールを受けてチームメートとプレーすることができたし、ワンツーやクロスでチャンスを作り出せたと思っています。個人的には良かったと思う」と自己採点も悪くない。

 納得のいくプレーは二つ。

「前半は薫にセンタリングを送ったシーンですね。思っていた通りのプレーができましたし、薫もシュートまで行けました」

 これは12分のことだ。右サイドで旗手怜央からの縦パスを内側から抜け出していって深い位置で受けてセンタリング、三笘薫がダイレクトで狙ったシーン。

「後半は車屋に上げたセンタリングですね。その二つは思っていた通りでした」

 これは70分のシーンだ。右サイドでボールを動かしながら穴を探っていたところで受けて顔を上げると、逆サイドで車屋紳太郎がフリーになって手を挙げていた。そこへぴったりの高さと速さのクロス。しかし、車屋のヘディングシュートは右にそれてしまった。

 どちらもゴールにならなかったものの、その攻撃力が十分にチームの武器として生かせることを証明してみせた。共通するのは、ワイドに開いたところではなく、インサイドに入ってチャンスを作ったことだ。

「基本的には監督の要求を表現できるかが大事ですが、監督からはチャンスがあれば中からオーバーラップをかけていいと言われています。中でプレーするのは好きなので、ボールを扱いながらプレーできたのが良かったと思います。この前の試合では右の中盤の(大島)僚太とワイドの怜央という素晴らしい選手がいたので、うまくコンビネーションを作ってプレーできました」

 右サイドバックは山根視来が一番手の扱いだ。ジオゴ・マテウスは挑んでいく構図だが、共闘の意思を鮮明にする。

「視来は同じポジションですが、ライバルというよりはまずはリスペクトの気持ちが強いんです。彼がプレーするときには応援しますし、勝利をもたらしたときにはおめでとうと伝えます」

「サッカーは一人でやるスポーツではなくて、タイトルを取るときにはグループの力があってこそで、団結が必要だと思っています」

「視来に言っているのは、同じポジションなのでポジショニングを注意深く見させてもらっているということです。このチームではポジショニングがとても重要で、そこがかなりキーになってくるので、常日頃から意識しながらやっています」

 シーズンが押し迫り、タイトル争いが佳境に向かえば、予測不能なことも待ち受ける。その力が必要なときがきっと来る。「今回できたことをやり続けること。満足せず成長していかないといけません。成長しながら最後の最後まで戦って、目標であるタイトルにたどり着きたい」と真摯にサッカーと向き合う姿勢は変わらない。

 山根と高め合いながら、次の出番へ向けて今日も必死にボールを追いかけているのだ。


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