上写真=「サポーターの皆さんをがっかりさせてしまった。死んでいないぞというところを見せたい」(写真◎J.LEAGUE)
センターバックをどう動かすか
「東京の狙いとしていたことを狙い通りやられたな、というか、自分たちの良さを出せずに相手の良さを出させてしまった試合だと思います」
ルヴァンカップ準決勝でFC東京に0-2で敗れた翌日のオンライン会見だから、反省ばかりが先にくる。だが、小林悠の言葉はすべて、次に生きるファクターばかりだということが分かる。
この日はベンチからのスタート。FC東京が待ち構えてから守備をする戦いを選択してきたことをピッチの外から見て、「理にかなった守備」だと感じていた。
「11人全員があれだけ引くことはいままでもなかったと思いますね。(ピッチの外から)見ていても低いと思いましたし、あれだけ低いと前にアグレッシブに守備ができます。理にかなった守備というか、FC東京のメンバーからすると、しっかり考えて研究してやってきた守備だなと思いました」
最終ラインが下がり、そこにMFのラインも近づいてスペースを消し、FWまでもが連動して低いところに基準のポジションを置いてきた。谷口彰悟も「ピッチの3分の1に11人が入っていた」と驚いたが、65分にレアンドロ・ダミアンに代わってピッチに入った小林も、その感触は変わらなかったという。
「これからは研究されてブロックを作る相手が増えてくるのかなと予想しています。こっちもブロックを壊す動きがなかったので、センターバック2人を動かせたシーンがなかったんじゃないかな。そこをどう動かしていくかが課題になると思います」
3トップのセンターとしては、これが最大の修正ポイントになりそうだ。森重真人と渡辺剛のセンターバックがボールや川崎Fの選手の動きにつられることなく、中央のいるべき場所に留まり続けたことが、小林と川崎Fの攻撃を難しくしたーーそれがピッチの上の実感だ。
「あれだけ引かれてしまうと背後へのランニングが難しくなるので、斜めの動きや自分が落ちてシャドーが抜ける連係が大事になると思います。ブロックを作られてもスペースはできるので、そこをどう突くか」
スペースはなくなったわけではなくて、どこかに必ずある。その前提がチームを救うだろう。ないからあきらめるのではなく、見つけていく作業を怠ることはしない。そのために必要なのが2つの「リスク」だという。一つはパス。
「ブロックを作られるとカウンターが怖いかもしれないけれど、危険なボールは入れていかないと得点につながるシーンはできません。リスクを負って攻めに強気なプレーを見せていければ、チャンスを作れるかなと想像しています」
もう一つが、人。
「クロスの場面でもボールホルダーに寄せてきていたし、クロスを上げる方もスペースがないと感じていたと思います。前半、外から見ていて思ったのは、それならこっちももっと人数をかけていいのかなということでした。相手が引いていたということは、こっちもディフェンス陣が攻撃に関わっていかないと人数的に不利な状況になるので、もっとチャレンジしていかないといけないですね」
これからも同じように守備を固めてくるチームが増えていくだろう。しかし、敗戦から学んだことを強みに変えてしまうのも、強者の条件。それをピッチの上で証明する日々が、また始まっていく。