上写真=C大阪を撃破して、次はFC東京とのルヴァンカップ準決勝。いつも通り戦い抜くだけだ(写真◎スクリーンショット)
「いい言葉が浮かんでくるように」
鬼木達監督が口癖のように言い続けるのが「1試合1試合」。一足跳びに前に進むのではなく、前の試合を反省し、目の前のゲームに集中し、相手を分析していく、の繰り返しだ。
J1第20節で暫定2位のセレッソ大阪を3-1で下し、勝ち点は14も差がついたからチームの雰囲気がいいのはもちろんだが、だからといってすべての面で順調なのだと満足するつもりはない。課題は必ず出てくる。そこに向かう姿勢が、いかにも鬼木監督らしい思考なのである。
「とにかくマイナス面があってもそれに引っ張られないというか、自分たちは自分たちのやるべきことをやる、という気持ちです。それがいい方向に進んでいますし、いろんな修正点はあるんですけど、ネガティブにとらえるのではなくポジティブにとらえて、強くなるためにはもっとこうできるよね、という材料にできています」
勝ったから言えることではあるが、C大阪戦の失点もその材料になる。川崎Fの左サイドからクロスを上げられて、センターバックの間に入ってきた奥埜博亮にヘッドで流し込まれた。
「シンプルにクロスを簡単に上げさせない。大前提はそこですよね。でも、なかなか難しい。それに、単純なんです。中のマークでどちらがつくか、というところに尽きますから。言い続けているところですが、完璧に全部を抑えるのは無理ですから、僕個人としてもそこに引っ張られたくありません。もちろん、ああいう場面は起こしてはいけませんが、センターバックの2人はほかのところで力を使って、カウンターを防いだり圧力を落とさずにプッシュアップしていて、そういう中でのあの失点ですから」
10月7日、ルヴァンカップ準決勝の相手はFC東京。長谷川健太監督は「強い強い川崎に全員で向かっていきたい」「前回は戦いにもならなかったので、今回は戦いに持ち込めるようにしたい」と話している。
「いや、前回の対戦はまったく関係ないと思っています」とはそれを受けた鬼木監督の弁。7月8日のJ1第3節は4-0で川崎Fの圧勝だった。
「それは僕だけではなく、選手も理解していると思います。それこそ、いい例がセレッソ戦です。ホームの対戦のときには大量得点できましたが(5-2で勝利)、この前のゲームでは拮抗した戦いでした。FC東京戦も前回の対戦と同じことは起きないと覚悟しています。向こうは失うものはないと思ってやってくるでしょうし、それを受けて立つのではなく上回る気持ちでやらないと、一発勝負では勝てません」
大勝負を気持ちで乗り切る必要性を改めて訴えた。確かに、C大阪戦の前は「決勝戦のつもりで戦おう」と話して選手のハートに火をつけた。では、FC東京戦に向けたパワーワードは?
「もっとFC東京の試合を見て、いろんなことを把握してから、ですね。いい言葉が浮かんでくるように、自分に期待しています」