上写真=決勝点のアダイウトン(中央)を囲んで喜びの輪。FC東京が接戦を制した(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月4日 J1リーグ第20節(@BMWス:観衆4,691人)
湘南 0-1 FC東京
得点:(東)アダイウトン
「関わってくれたすべての人に感謝」
湘南ベルマーレとFC東京の共通項は「スピード」で異論はないだろう。どちらも迫力のある直線的なアタックを大きな持ち味としている。しかしこの試合、前半はどちらもほとんど速さを出しきれないサッカーになった。
FC東京は3日後にルヴァンカップ準決勝の川崎フロンターレ戦が控えており、前節の先発メンバーから11人全員が代わる構成。そのせいか、細かいところでパスがずれて攻勢に出かかったところでノッキングを起こしてしまう。湘南も齊藤未月や茨田陽生が受けてサイドに散らしていくが、なかなか最終ラインを突破できない。お互いの最終ラインと最終ラインの間で行ったり来たりの展開が続き、湘南は石原直樹が、FC東京はアダイウトンが時折、鋭く前を向いて突破を図るぐらいで、結果的に静かな45分となった。
ハーフタイムの監督コメントが面白い。どちらも最終ラインの背後を意識するフレーズを使ったのだ。湘南の浮嶋敏監督は「裏に入ってくるボールへの対応をしっかり」、FC東京の長谷川健太監督は「タイミングを合わせて相手の背後を狙っていこう」。ともに前半の戦いから、裏を取るか取られるかをキーポイントに挙げて選手を送り出した。
それを形にしたのはFC東京だった。後半から徐々にロングボールを増やして湘南の最終ラインを押し込み始めると、78分に結実。品田愛斗から右奥にロングパス、相手が処理に戸惑うところを見逃さなかった田川亨介が奪ってすかさず中へ、これをアダイウトンが右足できっちりたたいて、GKの手を弾いてゴールに蹴り込んだ。
結局、これが決勝点になって、FC東京は2試合連続で1-0の勝利をもぎ取った。逆に湘南は4連敗で、直近3試合が0-1と歯がゆい結果になった。
FC東京の長谷川監督は「非常に連戦の中でのタイトなスケジュールで、思い切ってターンオーバーしました。非常に難しい展開とリズムになりましたが、致し方ないと思います。我慢強く戦ってくれました」とここまで出場機会が少なかった選手も力を出して戦い抜いたことを褒め称えた。これで自身J1での通算200勝に。「改めてという感じはまったくなくて、試合はまだまだ続きますし通過点だとは思っていますが、いろいろな選手やスタッフ、関係者の力がなければJ1で200勝という記録は達成できません。関わったすべての人たちに感謝したいと思います」と振り返った。
一方の湘南は煮え切らない敗戦に。浮嶋監督は「気をつけていたロングボールとこぼれ球、セカンドボールの処理とそこからの攻撃に屈してしまった形になってしまいました。気をつけただけに残念です」と唇を噛んだ。
写真◎J.LEAGUE