上写真=鋭く軽やかに川崎Fゴールに迫ってその魅力を披露した(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月3日 J1リーグ第20節(@ヤンマー:観衆11,842人)
C大阪 1-3 川崎F
得点:(C)奥埜博亮
(川)オウンゴール、レアンドロ・ダミアン、三笘薫
「ゆっくり回す時間が作れませんでした」
セレッソ大阪ではMVP級のパフォーマンスだったのではないだろうか。坂元達裕の攻撃への意欲がストレートにピッチに描かれていた。
16分にブルーノ・メンデスがカウンター気味にど真ん中から持ち出したときに、右から猛スピードで追い越してラストパスを引き出したものの、相手にボールを引っかけられてしまった。
42分には中央から右へ、相手の最終ラインのギャップを見逃さずに裏のスペースへ飛び出していって清武弘嗣からパスを引き出すと、軽やかなトラップから前を向いてキープ、そのままサポートに入ってきた清武に預けてリターンをもらってクロスで迫った。
53分にもマテイ・ヨニッチからのロングパスに右サイド深くまで走って、登里享平が自分のものにしようと体を入れてきたところで軽やかな身のこなしでするりと入れ替わるようにして奪い、その登里に倒されたようにも見えたがPKは獲得できなかった。
57分には右の松田陸からの低いセンタリングにニアで合わせ、DFにブロックされたがCKを獲得、その1分後にはブルーノ・メンデスのポストプレーからのパスをワンタッチで中に持ち出してキレのいいシュートを放っていったが、これもDFに当たってまたもCKになった。
これだけゴールに迫りながらあと一歩が及ばなかったから、悔しさも倍増だろう。
「前半の最初にボールを持たれてチャンスを作られる場面が多くありました。でも、少しずつ修正してこちらが持つ時間もできてチャンスを作ったんですけど、ゴールが奪えませんでした。先制されて難しい試合になってしまいました」
あれだけ攻撃に関与しても、川崎Fに勝てない。どうしてなのだろうか。
「真ん中で時間を作ってパスを回しながらチャンスをうかがうところは、まだまだ足りないと思います。ゆっくり回す時間が作れませんでした。そういうところがフロンターレとの差として表れてしまいました」
頂上決戦にふさわしく、局地戦も魅力満点。ブルーノ・メンデス対ジェジエウ、奥埜博亮対谷口彰悟、松田陸対齋藤学、片山瑛一対家長昭博など、見どころはそこここにあった。そして、坂元と登里の「仕掛け仕掛けられ」というバトルは、緊迫感のある試合に花を添えた。
「本当に勝ちたかった。でもあきらめずに、これから全試合で勝ち点3を取る気持ちで戦っていきたいと思います」
最後の最後まで戦い抜くことを誓うのだった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE