9月26日の浦和戦で2点目をアシストしたのは、横浜FCのレアンドロ・ドミンゲスだった。37歳を迎えても、かつてJリーグMVPを獲得したブラジル人の超絶技巧に衰えはない。勝負を決めたスルーパスには味方も監督も驚いていた。

上写真=今季初先発となった浦和戦できっちり仕事をしてみせたレアンドロ・ドミンゲス(写真◎Getty Images)

■2020年9月26日 J1リーグ第19節(@埼スタ/観衆6,401人)
浦和 0-2 横浜FC
得点:(浦)なし
(横)松尾佑介2

レアンドロにしか出せないパス(下平監督)

 技術に衰えはないーー。サッカー界の格言である。今年、37歳を迎えるブラジル人のレアンドロ・ドミンゲスは、埼玉スタジアムのピッチでその言葉をまさに体現していた。

 松尾佑介の追加点をアシストは、サッカーファンを魅了するものだった。味方のパスを受けると、スムーズにくるりとターン。無駄ひとつない動きで前を向くと、松尾と目を合わせ、次のプレーのイメージをつくった。前もって味方と敵のポジショニングも頭に入っている。裏に走ろうとしているのは、快足自慢の松尾である。

「仲間の能力を最大限に生かすことを考えてプレーしている」

 サイドのオープンスペースに出したパスは、オフサイドラインぎりぎりでスタートした松尾にピタリと合う。寸分の狂いもなかった。しかも、蹴るタイミングがつかみずらいアウトサイドキック。芸当と言ってもいい。

「素晴らしいゴールにつながって、よかった」

 さらりと仲間のフィニッシュを褒めていたが、半分以上はベテランのパスから生まれたと言っても過言ではないだろう。ゴールを決めた松尾が「レアンドロのスルーパスがすべて」とお膳立てに感謝すれば、下平隆宏監督は「レアンドロにしか出せないパス」と舌を巻いた。

 今季はケガの影響もあり、初めての先発出場。序盤は短い時間での途中出場が続き、前節の川崎フロンターレ戦でようやく約30分間プレーした。徐々にはではあるが、コンディションが戻ってきているようだ。

 10年前に来日し、その翌年には昇格1年目の柏レイソルを初優勝に導いて、リーグMVPを獲得。名古屋グランパスを経て、一度ブラジルに帰ったが、再びJリーグへ。横浜FCに加入して4年目。全盛期ほどの活動量はないが、勝負を決める一発のパスはまだまだ目を見張る。その技巧は、いまだ健在である。

取材◎杉園昌之


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