上写真＝左腕に赤いキャプテンマーク。「責任を持ったプレーを」と期すものがあった（写真◎J.LEAGUE）
■2020年9月23日 J1リーグ第18節（@等々力:観衆4,723人）
川崎F 3-2 横浜FC
得点：（川）田中碧、旗手怜央2
（横）小林友希、佐藤謙介
繰り返す「物足りない」
カズこと三浦知良が、川崎フロンターレとのJ1第18節で横浜FCの仲間たちの先頭に立ってピッチに入ってきた。
左腕には赤いキャプテンマーク。
「本来だったら今日は（佐藤）謙介も田代（真一）も先発していたので、キャプテンは彼らのどちらかだったんですけど、（下平）監督を含めて謙介も田代もみんな、僕にキャプテンマークを、と言ってくれたので巻きました。そういう選手たちの気持ちも含めて、みんなの気持ちを腕章に込めて責任を持ったプレーしたいと思っていました」
今季リーグ戦初出場初先発で、53歳6か月と28日でのJ1出場は新記録。だからこそ、ピッチに立たせてくれた周囲への感謝で身が引き締まった。
「横浜FCというクラブ、監督を含めたスタッフ、関わっているみんな、そして選手に感謝したいですね。僕がピッチに立てるのは、みんなの助けがあってのもの。こうして先発してJ1の舞台に立てたことに感謝したいと思います」
下平隆宏監督の狙いは、「フロンターレの攻撃を受けるときついと思うので、自分たちの攻撃の時間を長くするためにしつこくビルドアップして、前半をしのげれば」だった。そのために技術と経験のあるカズ、中村俊輔、松井大輔を起用したというわけだ。だから下平監督は、「いいところで起点になって攻撃で助けになれば」というタスクをカズに与えた。だが、さすがは妥協はしないカズ、「物足りない」を繰り返すのだ。
「フロンターレの圧力が強かったので、守る時間が長くなるのは分かっていました。コンパクトに粘り強くやろうと思いながら戦っていました。いい形でビルドアップできたときは中盤で受けることができたけれど、ペナルティーエリア付近での仕事は少なかったですね」
「自分自身では物足りなかったですね。個人の問題もあるかもしれませんが、チームとしてフロンターレを相手にしたときにペナルティーエリアのところでどう崩すかが今日は課題として残りましたし、逆にフロンターレは最後の仕上げのところが素晴らしいと思います。この経験を次に生かしていきたいと思います」
「僕が中盤で収めてつないだ、と監督が言ってくれたならそういう言い方もできると思いますが、もっとボールにかかわってチャンスに絡んでいきたいというのは正直ありますね。物足りなかったと思います。でも、フロンターレを相手にこうして戦えたことは次につながりますし、この経験を次のリーグに生かしたいと思います。チームとしてもフロンターレ戦のいい感触を、やられたシーンもあるけど得たこともありますし、僕自身も個人的に今後リーグ戦に出るチャンスを得られるように競争で勝ち取って、出るときにはフロンターレにこういう試合ができたことをつなげられたらと思います」
1993年のJリーグで自身初ゴールを決めたのが5月26日の鹿島アントラーズ戦で、この等々力陸上競技場でだった。「意識もしていなかったし、言われるまで忘れていた」と笑ったが、ヴェルディ川崎時代にホームにしていたこのスタジアムで、27年後の新しい一歩を刻むことになったのは感慨深い。
写真◎J.LEAGUE
